上写真=記念すべき代表初ゴールを決め、チームメイトに祝福される木下桃香(写真◎Getty Images)
■2021年6月13日 MS&ADカップ2021(@カンセキ/観衆3,890人)
日本女子 5-1 メキシコ女子
得点:(日)岩渕真奈、田中美南、籾木結花、木下桃香、遠藤純
(メ)アリソン・ゴンサレス
「自分にはシュートの威力があまりないぶん…」
メキシコ戦に臨むなでしこジャパンのメンバー表に、一人だけ10代の選手の名が刻まれていた。2003年生まれ、18歳の木下桃香はベンチで前半戦を見守り、58分に籾木結花と交代してピッチに入った。3日前のウクライナ戦で出番のなかった背番号13は、右サイドハーフのポジションで輝きを放った。
その才能がさん然と光を放ったのは74分。「絶対にクロスを上げてくれる」と左サイドでドリブルを仕掛ける遠藤純の動きを見ながらゴール前にポジションを取り、転がってきたボールを左足で止めて、最後は右足のインサイドキックで寄ってきた相手DFの股を抜き、ゴールネットを揺らした。
「自分にはシュートの威力があまりないぶん、普段から(相手の)股を抜いて、キーパーの逆を突くことを意識してやっています。練習通り、しっかり(相手DFの)股を狙ってゴールを決められてよかったです」
なでしこジャパンでの出場3試合目にして、まさに“ゴールへのパス”のようなシュートで初ゴールを挙げた。「実力不足のところがあるので、もっといろいろな経験をして、吸収して成長していけたら」と試合を通しての自身の出来には満足していないものの、「初ゴールを決められて素直にうれしい」と記念すべき1点を喜んだ。
自らの手で東京五輪への道を開く一戦で、「まずはサッカーを楽しむことが原点だと思うので、そこに立ち返って、そこまで気負うことなくリラックスして(試合に)入れました」と、その年齢を感じさせないメンタリティーを示した。なでしこジャパンの新星が、メダル獲得へのヒロインの座に名乗りを上げた。
取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎Getty Images