アルビレックス新潟の2024年の目標は「てっぺん」である。松橋力蔵監督が口にしたこのフレーズが、もう少しで現実になるところまでやってきた。JリーグYBCルヴァンカップで9年ぶりにベスト4に進出したのだ。とはいえ、ここからはさらに激烈さを増す。だからこそ、キャプテンの堀米悠斗は初タイトルへの情熱を口にするのだ。

上写真=堀米悠斗ははねのけたプレッシャーを力に変えて、未来のためにタイトル獲得を見据える(写真◎J.LEAGUE)

■2024年9月8日 ルヴァンカップ準々決勝第2戦(@Gスタ/観衆6,726人)
町田 2-0 新潟
得点:(町)中島裕希、下田北斗
※1勝1敗、新潟が5得点2失点で得失点差で上回り準決勝進出

「クラブを大きくしていきたい」

 ホームの第1戦で5-0の圧勝。大きな大きなアドバンテージを手にして臨んだアウェーでの第2戦で、松橋力蔵監督は「プレッシャーがあった」と吐露している。

 少し意外だったが、これに強くうなずいたのが、堀米悠斗である。

「特に自分は第1戦に出ていなかったので、5点差からひっくり返されるとなると、僕自身が本当にどうなってしまうんだろうっていう緊張感があったんです」

 まさか逆転で敗退となれば、取り返しのつかないことになる。チームを率いるキャプテンにもストレスはかかっていた。では、試合前にみんなになんと伝えるべきか。考えて、巡り巡って、こう呼びかけた。

「結局はいつも通りやろうと。それが難しいのは分かってるんですけど、 こうなったらっていう想像をいろいろすると本当に良くないと思ったので、本当にいつも通りボールをつないでチャレンジしていこうと伝えました」

 プレッシャーによって余計なものをはぎ取ったあとに、いつも通り、が正しい場所であることを改めて確認できた。ただ、この90分だけ見れば0-2の敗戦である。

「それでもなかなかそこにトライしきれなかったのは、まだまだかなと思います。2失点して、結果的に0-2で負けてしまった。(2試合合計で)突破できたというところだけは、無理やりでもポジティブに捉えるしかないかなと」

「9年ぶりのベスト4」という結果は、周りが想像する以上の困難を打ち破ってもぎ取ったものだった。そのとき、キャプテンの目に見えたのは、チームの、クラブの未来のことである。

「若手選手がここに来たいって思えるようなチームにしたいし、いま本当にいい若手がたくさんいるので、そういった選手がこのチームに残って上を目指したいと思ってもらえるように、僕たちベテランの選手が支えながら、クラブを大きくしていきたい時期なんです」

 淀みなく紡がれる言葉には、どんどん熱がこもっていく。

「その意味で、リーグ戦ではまずは残留というところを目指しながらですが、このルヴァンカップは本当にチャレンジしていきたい。自分たちがそこ(優勝)をつかみ取れるかどうかという、ポジティブなパワーしかない大会だと思っています。だから、チャレンジャーの気持ちでベスト4へ、次の相手に向かっていきたいなと思います」

 準決勝の相手は川崎フロンターレに決まり、もう一つのカードは横浜F・マリノスと名古屋グランパスが戦う。新潟が唯一、タイトルのないチームだ。だからこそ、「格」を上げるビッグチャンス。

「リーグ戦を戦っていて感じますけど、勝てない相手はいないというのが正直な感想です。自分たちの持っているものをすべて出すことができれば可能性はあると思いますし、だからこそ5点のアドバンテージがあるという、ある意味難しい今日のような戦いは、このチームの経験値としては大きいゲームだったと思います」

 確かに今年のJ1では、川崎Fに引き分けて、名古屋と横浜FMには勝っている。

 翌9日が30歳の誕生日。20代最後の日にメンタルの揺らぎを克服して手に入れた「4強」の実績は、「初タイトル」の称号で堂々と塗り替えられなければならない。まずは川崎Fと戦う準決勝は、10月9日にホームで、13日にアウェーで行われる。


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