今季の全公式戦を終えたガイナーレ鳥取が、12月2日にシーズン総括会見を行なった。林健太郎監督のほか、塚野真樹代表取締役社長、強化責任者の杉本亘輝フットボール本部本部長が出席。11位で終えた明治安田J3リーグでの戦いなどを振り返った。

上写真=総括会見に臨んだ代表取締役社長の塚野真樹氏、林健太郎監督、強化責任者の杉本亘輝フットボール本部本部長(右から、写真◎石倉利英)

アウェーで勝てない『内弁慶』

 林監督の就任2年目となった今季の鳥取は、アウェーでのJ3開幕戦でアスルクラロ沼津に0-3で敗れると、敵地で4試合を戦った第5節まで2分け3敗の未勝利と苦戦。ホームでの第6節で今季初勝利を挙げるも勢いは続かず、第13節を終えて2勝4分け7敗の最下位に沈んでいた。

 続く第14節で当時首位の栃木シティに勝ち、ホーム3連勝とすると、ホームでの連勝を7まで伸ばすなど、少しずつ状態は上向きに。一方でアウェーでは7連敗もあるなど開幕から未勝利が続き、第18節での初勝利後も2勝目が遠い『内弁慶』の戦いが続いた。

 第23節終了時点で今季最高の8位まで浮上し、J2昇格プレーオフ圏内の6位との勝ち点差が6に。しかし、その後は徐々に引き離されて第35節終了時点で6位以内の可能性が消え、最終成績は15勝6分け17敗、勝ち点51の11位だった。

 昨季の14勝8分け16敗、勝ち点50の13位からわずかに数字を伸ばしたものの、クラブの悲願である2013年以来のJ2復帰はならず。最終的にホームでは12勝4分け3敗の勝ち点40と強さが目立ったものの、アウェーが3勝2分け14敗の勝ち点11にとどまったことが足を引っ張る形となった。

 林監督は今季のポイントとして3つを挙げた。まずは上位6チームとの計12試合の戦績で、1勝3分け8敗と大きく負け越したことを「チームの完成度、個人の質、戦い方などで差を埋め切れなかった印象」とコメント。2つ目は開幕5試合の出遅れで「スタートダッシュに失敗してしまったことが、あとあと状況を難しくしてしまった。昨季もそうだったので、何とか改善しようと試みたが、やりたいことをやりつつ、どういう形でもいいから勝ち点を取りにいく戦いができたのではないかと、少し悔やまれる」と振り返った。
 
 3つ目は17敗という敗戦の多さで「勝ち点をゼロから1に変える。最後に失点して1がゼロになった試合で、何とか踏ん張って守り切る。もっと言えば、ゼロだったものを3にする」ことが足りなかったと指摘。「要因は一つではないし、明確な原因はシーズンオフに振り返る必要があるが、選手交代、システムを変える、流れを変えるなど、もう1つギアを上げるところが物足りなかったのは反省点」とした。

 鳥取は勝ち点を伸ばせなかった今季のアウェー19試合のうち18試合で、控えメンバーの数を最大の9人から減らし、全19人や18人のメンバー(最も少ないケースで17人)で戦った。人数が少なければ、林監督が「物足りなかった」という選手交代や布陣変更、ギアを上げるところで、それだけ選択肢が限られていたことになる。

 これについて杉本本部長は「そのときの順位や状況に応じて人数を増やして連れていくとか、移動手段などで工夫しながらやった」と説明。その上で「できれば私たちも20人連れていきたいが、予算の問題もある。状況に応じて、ということで考えている」と来季の見通しを明かした。

 なおホームでの12勝は歴代最多。8月の第24節・松本山雅FC戦ではクラブ歴代最多の1万1995人を動員するなど、ホームでの平均観客数は前年比16パーセント増の2835人だった。地元での勝利が盛り上がりと動員につながったと考えられ、塚野社長は「ホームで勝利をお届けすることの価値は、ものすごく大きいと感じている」と語った。

取材・写真◎石倉利英


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