5月19日の明治安田J3リーグ第14節でガイナーレ鳥取を下したSC相模原の戸田和幸監督が、MF徳永裕大をアンカーで起用した舞台裏を明かした。MF西山拓実の出場停止を受けて本来とは違うポジションで送り出し、徳永も期待に応えて勝利に貢献。ピッチに立てない西山にも練習でタスクを課し、勝利に向けて万全の準備を整えたという。

「本当に感謝しかない」

 アンカー起用を告げられた徳永も、期待を意気に感じていた。「最初は(えっ? と)思いましたけど、できるイメージがあったので、また自分が成長できるチャンスだと思って、すごくワクワクした気持ちになったことを覚えている」と振り返る。

 迎えた鳥取戦は「守備では僕のところで強度を出すことを意識して、攻撃では中間ポジションを取り、ボールを散らしながら攻撃の起点になろうと思った」というプレーを体現。中盤を支える働きを見せ、フル出場で勝利に貢献した。

 戸田監督も「あいつならできる、ということで取り組んできましたが、この短期間で本当によく理解して、実践もできるようになったと、今日もすごく感じた」と評価。さらに「監督がいて、いろいろなプレースタイル、コンセプト、試合に向けてのプランがあったとき、ここをやってくれないか、ということを何のちゅうちょもなく受け入れてくれた。今日までのあいつの努力とパフォーマンスには、本当に感謝しかない」と最大級の賛辞を送った。

 一方で指揮官は西山にも、勝利へのタスクを課していた。鳥取戦に向けた練習では「左サイドバックに入ってもらった」(戸田監督)。昨季まで相模原に在籍し、今季は鳥取に加入して左SBでプレーしている左利きのDF温井駿斗への対策として、同じ左利きの西山にプレーさせていた。

 実際に温井は何度か攻め上がってクロスを送ったが、相模原の守備陣は、ことごとくはね返した。「準備ができるように拓実にも、いろいろなことを助けてもらった」と感謝した戸田監督は、徳永とともに「2人の名前は、勝ったら絶対に出そうと思っていた」と明かした。

 相模原は4試合ぶりの勝利で昇格プレーオフ圏内の4位に浮上しただけでなく、「チームがバージョンアップして、今度は徳永と西山、アンカーのポジションに2人いるぞ、ということで、すごく良い競争が生まれると思う」(戸田監督)という選手層の厚みも手にすることに。それでも指揮官は最後に「まずは徳永と西山の名前を出させてもらいましたが、その上で、ほかの選手も含めてチーム全体で、しっかり努力してきたことが、プレー内容にも表れていると感じた」と付け加えた。

取材・写真◎石倉利英


This article is a sponsored article by
''.