上写真=試合前に鳥取の増本浩平監督と言葉を交わす実信ヘッドコーチ。Jクラブでは初めて指揮を執った(写真◎石倉利英)
■2023年9月16日 J3リーグ第27節(@Axis:観衆2,119人)
鳥取 2-2 福島
得点:(鳥)富樫佑太、普光院誠
(福)塩浜遼、森晃太
鳥取で活躍した『ミスターガイナーレ』
依田監督が体調不良で不在だった福島は、開始25秒で先制する好スタートを切り、後半に一度は追い付かれたものの、71分に再び勝ち越し。84分に追い付かれ、引き分けに終わった試合後の会見で実信ヘッドコーチは「追い付かれて、また勝ち越して、追い付かれてという展開で、勝ち切りたかった試合ですが、アクシデントの中で選手はファイトしてくれて、非常に良かったと思います」と語った。
現役時代は前身であるSC鳥取時代の2003年から11年間、中盤の主軸として活躍。アマチュアからプロ、JFLからJリーグへの道のりを支えたバンディエラとして『ミスターガイナーレ』と呼ばれ、ファン・サポーターから愛された。
13年限りで鳥取を退団し、当時中国リーグの松江シティFCへ移籍した。17年限りでの現役引退後に同クラブ(改称後はFC神楽しまね)でコーチや監督を務めたのち、今季から福島のコーチに就任。7月に服部年宏監督が退任して依田ヘッドコーチが監督に就任したことに伴って、8月からヘッドコーチとなっていた。
今回は代行とはいえ、Jクラブでは初めての指揮となる『デビュー戦』で、しかも鳥取とのアウェーゲーム。さらに相手の指揮官は2歳下の鳥取時代のチームメイトで、今季途中から指揮を執っている増本浩平監督というめぐり合わせもあった。
それでも、試合中は福島の指揮官としての仕事に集中していたという。鳥取のファン・サポーターにあいさつした後の会見では「いろいろ思うところはありましたが、まずはチームを勝たせること、選手がいつもどおりにプレーできることを心がけて臨んでいたので。終わった後に、帰ってきたんだな、ここで試合をやったんだな、と思いました」と振り返った。
福島は第17節終了後の監督交代を機に、鳥取戦の引き分けを含めて5勝4分け1敗と調子を上げている。さらなる浮上に向けて実信ヘッドコーチは「ハットさん(服部前監督)と依田さんの良い部分が融合して、得点が取れているし、守備もしっかり守れている。あとは決め切ること。今日も何本もチャンスがあったので、そういうところを突き詰めていけば、もっと勝てるチームになっていくと思う」と指摘していた。
取材・写真◎石倉利英