上写真=54分に3-0とするゴールを決めた奥田はベンチに駆け寄って会心の表情!(写真◎石倉利英)
■2021年10月3日 J3リーグ第21節(@チュスタ:観衆1,861人)
鳥取 0-4 宮崎
得点:(宮)青山生、梅田魁人2、奥田裕貴
「宮崎に恩返しがしたい」
「気持ちは非常に高ぶっていました。いつも通りに集中しにくい環境、感慨深いものがあったので、冷静に、冷静に、と。落ち着いて(試合に)入ろうと自分に言い聞かせて、やるべきことを再確認して入りました」
10月3日の明治安田生命J3リーグ第21節、アウェーで鳥取に4-0で快勝した試合を終えて、2018年に鳥取でプレーした奥田は試合前の心境を、こう振り返った。古巣との対戦に左サイドバックでフル出場。安定した守備に加えてJリーグ初得点も決め、攻守に活躍して勝利に貢献した。
54分のJ初得点はチームの3点目。タイミング良くオーバーラップしてパスを受け、カットインから右足を振り抜いてファーサイドのゴール右上に突き刺した。「(パスを受けた位置が)もう少し外だったら、クロスの選択肢だと思うのですが、中の位置だったので、思い切ってシュートを狙えるんじゃないかと思った」という判断で、見事な結果につなげた。
この日の会場は、鳥取の練習拠点である米子市のチュウブYAJINスタジアム。試合前に使用したアウェー側ロッカールーム横のスペースは鳥取時代、あこがれの存在だったFWフェルナンジーニョらと、居残りでフィジカルトレーニングに励んだ場所でもある。
「思い出しました。最高の時間を過ごしましたし、逆に言えば苦しい時間を過ごした場所でもある」と語ったように、鳥取では負傷離脱などもあってリーグ戦32試合で19試合の出場に終わり、1年間で契約満了に。それでも「前を向いて自主練習をやり続けて、今日神様がごほうびをくれたのかなと思う」と続け、「本当に出来過ぎですね。うれしいです」と最高の笑顔を浮かべた。
17年はY.S.C.C.横浜でプレーしており、2年間のJリーグ経験後、19年に当時JFLの宮崎に加入。再びJリーグの舞台に戻ってきたが、先発出場した開幕戦での負傷交代後は長らくベンチからも遠ざかった。だが9月の第17節にフル出場して復帰すると、5試合連続のフル出場となったこの日、思い出のスタジアムでJ初得点。「(自分の役割は)まず守備で、プラスアルファ、攻撃でアシストや得点が欲しいと思っていたところだった。サイドバックの選手が得点できるチームは強いと思うので(宮崎の先制点は右SBの青山生)、チームに与える影響としても非常によかった」と喜んだ。
「ガイナーレを離れなければならなくなったとき、一番熱心に誘ってくれたクラブが宮崎さんだった。Jリーグに上がるために、どうしても奥田の力が必要だと言ってくれたので、必要とされたクラブに恩返しをしたい」と宮崎への熱い思いを口に。「Jリーグ昇格を果たせましたが、クラブの目標はもっと上のところ。クラブのために全力を注ぎたい」と、さらなる活躍を誓った。
現地取材・写真◎石倉利英