上写真=鳥取戦で完封勝利に貢献した山本(写真◎石倉利英)
■2021年6月26日 J3リーグ第13節(@Axis:観衆:1,057人)
鳥取 0-1 福島
得点:(鳥)なし
(福)トカチ
「イメージ通り」の落ち着いたプレー
6月26日の明治安田生命J3リーグ第13節で、鳥取とアウェーで対戦した福島は、65分にFWトカチが先制点を決めて1-0とリード。だが追加点を奪えず、終盤は前線に人数をかけて攻める鳥取に苦戦を強いられた。
大ピンチが訪れたのは、後半アディショナルタイムの90+2分だった。相手の中央でのパスワークに守備陣がついていけず、エリア内でフリーとなった鳥取MF原田虹輝にパスが通る。だが、山本が素早く間合いを詰めてシュートをブロックし、ピンチを防いだ。
試合後のオンライン会見で、山本はこのシーンについて「選手たちが必死にマークにつこうとしている中で、後手でプレスに行ったときにスペースが一瞬だけ空いた」と振り返った。しかし「そこにスルーパスが来るだろうな、という想定ができたので、(パスが)出た瞬間に足元まで距離を縮めようと、スムーズに行けた」。冷静に状況を見極めており、「あとは体を投げ出すだけだったので、イメージ通り」というブロックで決定機を阻止した。
福島は第11節のカマタマーレ讃岐戦と、第6節のいわてグルージャ盛岡戦、どちらも2-1で勝ったものの、2-0から試合終了間際に1点を返されている。第5節のロアッソ熊本戦でも試合終了間際に失点し、1-2で敗戦。それらを踏まえての価値あるファインセーブに「最近、後半の最後に失点することが多かった。最後まで集中しなければいけないと、集中力が高かったこともよかった」と納得の表情を浮かべた。
第11節に続いて2連勝(第12節は試合なし)、最近7試合で6勝1敗と調子を上げてきた福島は、この日の試合を終えて暫定2位に浮上。それでも山本は、押し気味だった前半に得点できなかった点について「出来が良いように見えますが、そういう時間帯に点を取れないという問題点は、すごく大きいと思っている。福島は得失点差もプラスが大きくないので(12試合で15得点・11失点)、今日みたいにセットプレーが多い中で1点も取れなかったのは、向き合わなければいけない課題」と厳しく指摘した。
さらに「攻めているときのリスクマネジメントで、後ろの選手たちがどれだけ高い位置で攻撃にボールをつなげるかは、シーズンを通して続けていかなければいけないところだと思っている」とコメント。加入1年目、7月10日で36歳となる経験豊富な守護神は「常にチャレンジャー精神で、優勝を目指して戦いたい」と、より高い目標への強い意気込みを見せた。
現地取材・写真◎石倉利英