今季開幕戦で劇的な逆転勝利を収めたガイナーレ鳥取は、深い悲しみの中で戦いに臨んでいた。今季就任したスタッフが試合2日前に急逝。大きなショックを受けながらも、力を振り絞って勝ち点3をつかんだ。

ホーム開幕戦で喪章を着用

 翌15日、鳥取に戻ってきた髙木監督は、あらためて開幕戦について語った。

「我々としては『開幕戦だ、やるぞ』という気持ちだけでは入っていけない試合でした。そんな状況で、あのように0-2から足を動かして勝つことができた。会見で言った『このクラブだからこそできるパワーの注ぎ方』でつかんだ勝利でした」

 後半アディショナルタイムに3点目が決まると、髙木監督はスタンドに向かってガッツポーズ。そこにいた吉野智行強化育成部長は、宮川さんの死去に関する各所への連絡や対応に奔走しながら、鹿児島に到着していた。

 髙木監督はガッツポーズの理由について「この試合に挑むことのつらさを共有しながら、一人スタンドで見ている吉野とも歓喜を分かち合いたかった」と説明。その上で「鹿児島のファン・サポーターの皆さん、あるいはクラブへの挑発のように見えたかもしれないので、不快な思いをされた方にはおわびします。ただ、そうした背景があったことは、ご理解いただきたい」と語った。

 悲しみの中で、それでも戦いは続く。21日の第2節、いわてグルージャ盛岡を迎えてのホーム開幕戦では、試合前に黙とうを実施。鳥取の選手・スタッフは喪章を着用し、それぞれに宮川さんへの思いを胸に、目の前の試合と、その先のJ2昇格に向けて戦い続ける。

取材◎石倉利英


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