12月9日の明治安田生命J3リーグ第32節で、ガイナーレ鳥取とブラウブリッツ秋田が対戦。持ち味の堅守を取り戻した秋田に対し、鳥取は最後まで得点できず、0-0の引き分け。鳥取のJ2昇格の可能性がなくなった。

上写真=前節まで3試合連続で失点していた秋田が無失点に抑え、鳥取は2位の可能性が消えた(写真◎石倉利英)

■2020年12月9日 J3リーグ第32節(@Axis:観衆:680人)
鳥取 0-0 秋田

・鳥取メンバー◎GK田尻健、DF石井光輝、井上黎生人、藤原拓也(87分:坂井大将)、MF安藤一哉、新井泰貴(79分:小牧成亘)、可児壮隆、魚里直哉、FW三沢直人、田口裕也(87分:谷尾昂也)、新井光(66分:フェルナンジーニョ)

・秋田メンバー◎GK渡辺泰広、DF鈴木準弥、千田海人、加賀健一、輪笠祐士、久富賢(64分:沖野将基)、青島拓馬(68分:茂平)、江口直生、鎌田翔雅、FW井上直輝(64分:田中直基)、中村亮太(64分:林容平)(81分:山田尚幸)

鳥取は後半のシュート9本も実らず

 キックオフ1時間前のピッチ上の気温計は8・0度。公式記録は9・3度だったものの、12月のナイトゲームゆえに時間がたつにつれて冷え込んだ一戦は、試合展開は対照的に、終盤にかけて熱を帯びていった。

 前半は秋田が、激しいボールへのプレッシャーで鳥取を容易に攻め込ませず、奪ったボールを素早く前線に展開して主導権を握る。武器のセットプレーからゴールに迫るシーンもあったが、シュートの精度が低く決定機には至らなかった。一方の鳥取は、何度かゴールに近づくシーンがあったものの、相手守備陣の高さを考えて容易なクロス勝負を避け、パスをつなぎながら攻め崩そうとする。しかし、なかなかシュートまで持ち込めず、前半はお互いに得点なく0-0で終えた。

 後半もスコアが動かず進んだが、J2昇格争いへの生き残りが懸かる鳥取は、66分のFWフェルナンジーニョ投入後に主導権を握る。だが、72分にカウンターからフェルナンジーニョが放ったミドルシュートは、この日がJリーグデビュー戦の秋田GK渡辺がファインセーブ。フェルナンジーニョは直後の73分にもエリア外から鋭いシュートを放ったが、左ポストに当たって決まらなかった。

 秋田も終盤にかけて両サイドから攻め込んで決定機を作るものの、MF茂が右からのセンタリングにダイビングヘッドで合わせた83分の決定機は、クロスバーの上に外れる。鳥取は試合終了間際のラストプレーで、左からカットインしたフェルナンジーニョが右足で狙ったが、右に外れ、直後に主審のホイッスル。終盤に攻め合った両者だが結局、最後まで得点は生まれなかった。

 秋田は第28節で優勝とJ2昇格を決めた後、続く3試合は今季初黒星を含む1勝2敗。第28節まで失点8という驚異の堅守から一転、3試合連続で先制されるなど計6失点を喫していた。だがこの日は持ち味を取り戻し、得点こそ奪えなかったが、4試合ぶりの無失点。この日のテーマを「チーム全員での結束プレス」と表現した吉田謙監督は、「ボール際は粘り強さ、気持ちの強さをプレーで表現できていたと思います。でも満足せず、本当にボールを奪い取ってゴールに突き進む。相手に引っ張られても、引きずってでも前に行く。そういう強さを、もっとつけてほしい」と語った。

 一方の鳥取も、9月の前回対戦で0-4と大敗した秋田を無失点に抑えたが、後半のシュート9本の猛攻も実らず、今季初のスコアレスドロー。残り2試合で2位との勝ち点差が7に広がり、昇格の可能性がなくなった。髙木理己監督は「何としても勝ちたい試合で、優勝を決めた秋田さんに対し、選手は堂々と立ち向かってくれたと捉えています。だからこそ、何としても勝ち点3をもぎ取りたかったですが、非常に悔しい試合となった」と唇をかんだ。
 
現地取材・写真◎石倉利英


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