上写真=今季もチームのけん引車として期待される中島(写真◎Kaz Photography/FC GIFU)
「阿部イズム」を受け継ぐ覚悟
ーー長い自粛期間を経て、練習、練習試合も消化し、いよいよ開幕ですね。
中島賢星 自粛期間中はチームから与えられるメニューのほかに、自分なりに考えられることもやっていたつもりでした。でも、いざ明けてみると結構しんどかったりしました(笑)。やっぱり、強度の部分で違いますからね。
ーートレーニング以外で、大変だったことはありましたか。
中島 食事ですかね。独身なので毎日自炊してたんですけど…。とても人に見せられるものではなくて、とにかく食べるだけ、でした。もちろんメニューは自分なりに考えてはいて、肉が中心で、魚の日もあったり、栄養面は気をつけていました。でも、実はだいたい決まっちゃっていて、肉と野菜を一緒に炒めて食べる感じの、まさに「男飯」(笑)。
ーーそれだけに、自粛明けは晴れ晴れとした気持ちだったのでは?
中島 みんなとまたサッカーができて、本当に楽しかったです! 自分にとってサッカーがこんなにも重要なものだったんだと改めて気づかされました。これだけ長い間、ボールを蹴らなかったことはケガを除けばなかったですし、改めて気づけたのでいい機会でした。
ーーFC岐阜でのプレーは期限付き移籍の2017年から数えて4シーズン目となります。重要であるサッカーを岐阜で表現できるのは幸せですね。
中島 このクラブでプレーさせてもらえることに感謝の気持ちを持っていますし、契約してもらっている以上、クラブに貢献しなければいけないと思っています。2019年はJ2残留争いの中、どんなに厳しいときにもファン・サポーターの皆さんが後押ししてくれたのを見てきているので、絶対に恩返しします。もう一度、岐阜でサッカーを盛り上げていきたいんです。
ーーその大切なクラブの象徴的な存在、阿部正紀さんが昨季いっぱいで引退されました。
中島 本当に『アツい』人で、毎日の練習から気持ちが全面に出ていました。どんな練習でも、それが試合であるかのように気持ちを出しながら「戦う練習」をしている人は、プロになってから初めて見たんです。見習う部分は多くて、たくさんの刺激を受けてきました。
プライベートでご飯に行くこともありましたし、でも、そういうときは逆に真面目なサッカーの話はしなかったなあ(笑)。引退を聞いたときはびっくりしたし、どうして? とも思ったけど、本人の意志を尊重して……ああ、でも、そうは言っても寂しいんですけどね。
ーー阿部さんから受け継ぐものは多いと思います。
中島 プレー面で細かい部分、というよりは、それこそ僕が岐阜に来たときに大木武監督が独特のサッカーをしていてものすごく楽しくて、阿部さんにしても大木さんにしても、たくさんの人たちがクラブに残してくれたものを僕なりに受け継いで、いいものをうまく落とし込んでいくという作業に力を入れるつもりです。