6月13日にMUFGスタジアム(国立競技場)で行われたJリーグオールスターDAZNカップ。特別なワンデートーナメントで優勝したのは、J2・J3 EAST-Aだった。決勝では土居聖真(モンテディオ山形)のセンスあふれるゴールが生まれたが、それは育ててくれたJリーグへの、まさしく「恩返し弾」だった。

上写真=土居聖真は賞金100万円で「MIPを取った記念になるものを買おうかな」(写真◎J.LEAGUE)

「感覚でそのまま」

 最後に、最も印象に残った選手に贈られる個人賞「MIP」が発表され、その名前がスタジアム中に響き渡ると、土居聖真は相好を崩した。

 栄えある賞は、その右足で勝ち取った。J2・J3 WEST-Bとの決勝戦が始まってわずか3分、左サイドから石井久継に預けてペナルティーエリアに潜り込んだ。

「最初、川井(歩)がオーバーラップもしていましたし、そこを使って簡単にクロスでもいいかなって思ったんです。でも……つまらないなって」

 オールスターという祝宴にふさわしい決断を下した。

「でも(パスが)返ってくるとは思わなくて、フルスプリントで潜っていったわけではありませんでした。返ってきたらいいな、ぐらいの感じで」

 それがちょうどいい脱力になったのだろう。石井から相手の股下を通す技ありのパスが戻ってくると、力まず自然にそのまま右足インサイドでゴール右へと流し込んだ。

「意表を突いてリターンパスをくれたので、相手もちょっと遅れたと思いますし、感覚でそのまま蹴ってゴールも見ていなかったですけど、きれいな形で入って良かったです」

 鮮やかな決勝ゴールで文句なしのMIP。ただ、そのことよりもうれしかったことがあった。

「MIPもうれしいですし、優勝できたこともうれしいですし、何よりたくさん応援してくれている人がいるんだなって再確認できたことが、一番の喜びで」

 グラウンドレベルからスタンドを見上げるたびに、自分の名前や背番号が刻まれたユニフォームやタオルマフラーを掲げてくれた人の姿がたくさん目に飛び込んできたことに、とても驚き、とてもうれしかったのだと、心からの感謝の思いを口にした。

あの人の言葉

 鹿島アントラーズで名を馳せ、日本代表でもプレーし、現在は故郷のクラブ、モンテディオ山形の要だ。そして今回、50,195票を集めて、J2・J3の最多得票でこのステージに立った。

「僕もJリーグに育ててもらいましたし、今日はこの特別な大会でそのJリーグに名前を刻めたというか、Jリーグに対しての恩返しになったのかな」

 謙虚さがこの人の最大の強みだ。

 このオールスターではどの選手に話を聞いても、みんなサッカー少年に戻ったように目を輝かせては口々に「楽しかった!」と振り返った。もちろん、土居もその一人。

「僕も自分のチームには円陣を組んで散らばるときに言いましたけど、こんな最高の雰囲気はないし、J2・J3ならなおさらだから、もう楽しむ以外ないよね、って」

 それは、ほかでもない、自分自身に向けたメッセージだった。

「楽しむことを優先でいこうという言葉をかけたのは、みんなに言っているつもりでしたけど、自分にも言い聞かせていました。だから、出ている間は精一杯楽しんだつもりです」

 サッカーを楽しむという原点に戻って手にした優勝と個人賞だった。数々の経験を持つ土居にとって、この最高の1日はどんな意味を持つだろうか。

「サッカーが好きな人でも、好きじゃない人でも、土居聖真ってなんか聞いたことがあるな、ってなってくれればうれしいですね。別に目立ちたいとかそういうことではなくて、ずっとJリーグでやってきた人間なので、そこに名前を残して印象に残ればなと」

 そしてこれからも、心に残るゴールを決めたいと誓うのだ。5月に34歳になったが、その思いを改めて強く持つことができたのは、あの人の一言のおかげでもある。

「今朝、鬼木さんと話す機会があって、言われたんです。中村憲剛さんや家長昭博さん、小笠原満男さんは、30代でJリーグのMVPを取っているから、まだまだだよって。だから、まだまだ伸びしろがあるなって考えられました」

 この日、J1 EASTを率いた鬼木達監督がかけてくれた言葉は、リーグやチームの垣根を越えたオールスターならではのもの。優勝や個人賞と同じように、大切な宝物になった。


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