RB大宮アルディージャは6日、J2首位のジェフユナイテッド千葉と対戦し、2−1で勝利を飾った。大宮が国立競技場で行われた上位対決で勝ち点3をつかんだのは最後尾で好守を連発した笠原昂史がいればこそだった。

上写真=好セーブを連発し、大宮に勝利をもたらした大宮のGK笠原昂史(写真◎J.LEAGUE)

正確な見極めと圧巻の反応

 ビッグプレーで勝利を引き寄せた。笠原昂史の獅子奮迅の活躍がなければ、おそらく勝ち点3は手にできなかっただろう。
 
 豊川雄太のゴールで先制し、石川大地に決められて1−1の状況となっていた29分。大宮は相手FKの流れから椿直起に右サイドを破られ、クロスを許した。そしてゴール前に攻め残っていた鈴木大輔にヘディングシュートを浴びる。

 しかし枠をとらえた鋭いシュートを、笠原が抜群の反応でストップ。ベンチに座る千葉の選手たちが腰を浮かしてゴールを確信し、一方で大宮の選手たちが失点を覚悟したであろうた一撃を、守護神が阻止してみせた。

 38分にも好守を見せた。自陣で与えた直接FKの場面で、品田愛斗の無回転シュートを打たれたが、ボールの軌道をしっかり見極めて弾き出している。いずれもチームを救う値千金のプレーだったが、後半も笠原は高水準の働きを続けた。

 オウンゴールで大宮が勝ち越しに成功したあと、69分のことだ。右サイドをドリブルで持ち上がった横山からボックス左に走り込む石川にパスを通された。笠原は大きく振られる形になったが、スムーズな足の運びで距離を詰め、石川のシュートをブロック。石川のトラップがやや流れたこともあったが、的確な判断と体を大きく使ってシュートコースを消した笠原のプレーが光った。

 試合終盤にも決定的なプレーで失点を阻止してみせた。ボックス内にボールを持ち込まれ、混戦となると、至近距離から品田にシュートを浴びた。笠原は直前のプレーで重心をずらされていたが、密集を抜けてきたボールを左足一本でストップ。高い集中力と鋭い反応がそのプレーに詰まっていた。

「最後までみんなが体を張って、コース限定してくれているというところで守れていると思いますし、今日勝てたことはすごく良かったと思いますけど、自分自身のパフォーマンスがまだまだ納得していないんで。しっかり頭を整理して、まだ伸びる部分はもちろんあると思うし、試合は続いていきますけど、しっかりトレーニングで確認するとことは確認して、また頭すっきりさせてから次の試合に臨めたらと思います」

 国立競技場で行われた首位千葉との大一番で勝利できたのは、もちろん大宮選手全員の力だが、笠原の働きなくして成し得なかったのは間違いない。それでも本人は謙虚に試合を振り返り、先を見据えた。

「1失点目のところの対応をもうちょっとこう詰めなきゃいけないとも思います。やっぱり先に(点を)取れた中で、完璧にゼロで進めていくこと。やっぱりあそこで追いつかれるということをなくすというか、できるだけ長い時間、やっぱりゼロを続けていきたい。そのために自分がやらなきゃいけないことだったり、頭の部分を整理して次に向かいたいと思います」

 笠原の矢印は常に未来に向かっている。試合(=過去)で出た課題を見つめ、次にどう生かしていくかを考える。試合終了直後にして、この発言である。今回で言えば、1失点目。クロスを上げられ、ややかぶる形になって、石川にヘディングを決められた。ただその失点以降は、何度も上げられたクロスに対しても、CKにも冷静に対応。同じミスを繰り返すことはなかった。

 そうした積み重ねが、この日の好守連発にも表れていたのかもしれない。

「自分が納得することなんて、サッカーを続けている限りないと思うんですけど、でも本当にまだまだだと思いますし、成長意欲みたいなものを持ち続けたい。やっぱり自己評価は甘くなる部分がもちろんあると思うので、しっかり自分自身を締めれるように。『まだまだだぞ、まだまだだぞ』っていうところでやっていきたい」

 現在36歳。成長に、そして勝利に貪欲な守護神が、上位争いを続ける大宮の守備を支えている。


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