上写真=熊本の選手たちがサポーターとともに祝福の「カモンロッソ!」(写真◎J.LEAGUE)
■2022年11月6日 J1参入プレーオフ2回戦(えがおS/11,429人)
熊本 2-2 山形
得点者:(熊)イヨハ理ヘンリー、杉山直宏
(山)山田康太、南秀仁
※規定によりレギュラーシーズン上位の熊本が勝ち抜き
「熊本一丸で勝って昇格しましょう」
エキサイティングなフットボールになる、というモンテディオ山形のピーター・クラモフスキー監督の言葉が「予言」になった。ロアッソ熊本も山形も、攻撃を最大の持ち味にするチーム。攻め合いの90分は、まさに大興奮だった。
レギュラーシーズン3位の熊本は、1回戦で大分トリニータに2-2で引き分けて、規定によって勝ち上がった。同6位の山形は3位のファジアーノ岡山にアウェーで3-0で完勝して、2回戦に進出してきた。
先制したのはホームの熊本だ。テンポ良く攻撃していたいい時間帯に決めてみせる。12分、右CKにニアでイヨハ理ヘンリーがヘッドで合わせてゴール右に送り込んだ。
山形も攻めに出て、5分後にショートパスを素早くつなぎながら、最後は山田康太が目の覚めるような左足のシュートをゴール左に突き刺した。山形は続けて24分に逆転に成功する。相手のビルドアップを引っ掛けた南秀仁が山田に預け、そのまま裏へラン、そこへ山田から優しいスルーパスが届き、南はGKの出際を狙ってループシュートを流し込んだ。
今度は熊本の番だ。後半開始から一気に圧力を強めると、裏に抜け出した高橋利樹が倒されてPKを獲得。これを杉山直宏が落ち着いてGKの逆を取って右に蹴り込み、50分に同点に追いついた。
このあとも攻め合いは止まらない。特に、レギュレーションによって勝たなければ突破できない山形はゴールへと力強く迫り、例えば72分には左からのクロスに逆サイドから河合秀人がスライディングシュートで狙うが、バーへ。このこぼれ球をデラトーレが左足のボレーで狙うが、GK佐藤優也にかき出された。
6分が目安となったアディショナルタイムに入っても山形がゴール前に次々とボールを送るものの、熊本がすんでのところで弾き返す、手に汗握る攻防の連続。そしてついに2-2で試合が終わり、規定によりレギュラーシーズン上位の熊本が決定戦へと駒を進めた。
「自分たちのサッカーを貫けてよかった」とPKを決めた杉山直宏。自らの横パスを引っ掛けられて逆転されたミスを取り返した冷静なフィニッシュだった。大木武監督は「自分たちが主導権を握る時間と相手に握られる時間と行ったり来たりの展開で苦しい時間もありましたけど……もう少しかな、やっぱり」と苦笑いだったが、「守りに回ったらうちは必ずやられるので、攻撃の姿勢を保った」と最後まで攻め抜いた。
この結果、J1の16位となった京都サンガF.C.と、来季J1でプレーできる最後のイスを争うことになる。
「あと1勝で昇格できるので、熊本一丸で勝って昇格しましょう」と杉山が呼びかければ、大木監督は「駒を進めただけで何も始まっていません。それは肝に銘じたい。思いきりやります」と引き締めた。
運命の一戦は、11月13日にやってくる。
■J1参入プレーオフ 今後の予定
・決定戦 11月13日13時5分 京都対熊本(サンガスタジアム by KYOCERA)