上写真=小川航基が長谷川竜也とハイタッチ。横浜FCの攻撃を力強く引っ張った2人に歓喜のときが近づいている(写真◎J.LEAGUE)
「まったく悲観することはなくて」
横浜FCが再び大一番を迎える。10月16日のツエーゲン金沢戦は、勝てばJ1昇格決定という重要なゲームだ。
同じく勝てば昇格が決まったはずの前節の大分トリニータ戦では、小川航基が2ゴールを挙げて得点ランクを独走する通算24ゴールとしたものの、昇格は持ち越しとなった。相手に3点を取られたからだ。
「試合内容はすごく良かったと思うし、相手のやりたいことをうまく消せて、うちのやりたいことはできていました。気迫や球際、前からのプレス、走るところはできていましたが、結果がこうなってしまったのは、まだまだ甘くないよ、ということだと思う。次で決めたいと思います」
22分の1点目は、最終ラインからガブリエウが送った長く鋭いくさびのパスを、マルセロ・ヒアンが優しく落としてくれて、フィニッシュに持ち込んだ。DFにブロックされたものの、再びその左足の前にこぼれてくるのは運と実力の両方の証明だろう。落ち着いて流し込んだ。
「1点目はマルセロ(ヒアン)がしっかりと見てくれて、一発目でイメージどおりのシュートを打とうと思ったんですけど、ブロックされてしまったあとにもしっかりと落ち着いて流し込むことができました」
56分の2点目は、左サイドで相手ボールを奪いきった和田拓也がそのままドリブル、折り返したボールを中央で齋藤功佑がスルーして、逆サイドから入ってきた小川が確実に蹴り込んだ。
「2点目は何か来そうだなと思ったので、あまり中に入り過ぎずにゆっくり入っていきました。そこでしっかり決めきれたのは良かったですけど、勝ちにつながらなかったのが残念です」
小川自身が「僕が3点目を取っていればよかったこと」と言及したように、63分には右からの山下諒也の折り返しにフリーで合わせながら、GKの正面を突いている。それでも、チャンスに決める冷静さは今季しっかりと磨いてきた。
「能力には自信があったけれど、こいつを使いたい、と思わせられなかったのが力不足」というのが過去の自分。「チームのことを考えてやった結果が、シャドーでも点が取れるようになった」ことで、キャリアハイの39試合、24得点を重ねてきた。「これだけ試合に出続けたことはなかったので、いい成功体験をさせてもらっている」と感謝のシーズンだ。
大分戦の敗戦は「まったく悲観することはなくて、内容もいいものを得られたし、一皮むけたと思います」とむしろ前向き。あと1勝に迫った昇格へ気力が充実している。
次節で昇格する条件は、横浜FCが金沢に勝つこと、あるいは、横浜FCが金沢に引き分け以下で、3位のファジアーノ岡山がブラウブリッツ秋田に引き分け以下となることだ。もちろん、勝ってその手でつかみたい。
ホーム最終戦となる金沢戦で、エースの25得点目(もしくはそれ以上)で勝って昇格、というストーリーが、やはりふさわしい。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE