明治安田生命J2リーグは第32節を迎え、8月20日に首位の横浜FCが4位のファジアーノ岡山と戦った一戦は注目だった。新型コロナウイルス感染症で多数の陽性者を出した岡山だったが、五分に渡り合ったが、横浜FCがカウンターからゴールを陥れて勝ち点3をもぎ取った。

上写真=決勝点の山下諒也を中心に喜びの輪。横浜FCは粘り強く戦って確実に勝利を収めた(写真◎J.LEAGUE)

■2022年8月20日 J2第32節(ニッパツ/4,611人)
横浜FC 1-0 岡山
得点者:(横)山下諒也

画像: ■2022年8月20日 J2第32節(ニッパツ/4,611人) 横浜FC 1-0 岡山 得点者:(横)山下諒也

交代選手2人が勝負を決める

 岡山では断続的に新型コロナウイルス感染症の陽性診断が出て、この1週間で8人にのぼった。4位の立場としては首位の横浜FCを直接たたいて、3強に食い込む絶好のチャンス。しかしその前に、難しい状況に直面することになった。

 4バックをベースにする岡山だが、この日は3バックから守備時には5バックで構えた。木山隆之監督は「守備でタイトにはめにいくことが必要」とコロナとは関係なく横浜FC対策として準備していたことを明かしたが、これが効いて、まずは前半は0-0。最低限の試合運びに成功したと言えた。

 横浜FCからすれば、3分と5分のチャンスをものにしていれば様相は変わっただろう。まず3分、相手のつなぎのミスを拾った伊藤翔がハーフウェーライン付近からゴールに向かってスルーパス、小川航基が抜け出してGKを左にかわそうとしたものの、ボールに触られてフィニッシュに至らず。5分には右スペースに出た近藤友喜の折り返しのパスに伊藤が左足で狙ったシュートは右ポストをたたいた。もう一つ、31分にはまたもや近藤が右に出て鋭いクロスを送ると、小川が高く跳んでヘッドでコースを変えたものの、枠を外れた。そこからは膠着状態で、後半も進んでいく。

 動きが少ないながらも一進一退だった攻防を象徴するように、勝負を決めたのはピンチの直後のチャンスだった。71分、岡山のCKからの濱田水輝のヘディングシュートを小川がゴール前でブロック、さらにこぼれ球を松浦拓弥がクリアすると、これを拾った山根永遠がドリブルで突き進み、右に走り込んだ山下諒也へ。落ち着いて狙ったシュートはGK堀田大暉の手に当たったものの、ボールの勢いが勝ってそのままゴールに転がり込んだ。最後は交代で入った2人のコンビで決めきった。

 もちろん、岡山にもチャンスはあった。特に86分には右からハン・イグォン、佐野航大とつないで中央のミッチェル・デュークへ。相手をうまく肩でブロックして時計回りにターンしてからゴール右すみに狙いを定めた左足シュートはしかし、GKスベンド・ブローダーセンのスーパーセーブに防がれた。

「悔しい!」が岡山の木山隆之監督の第一声だ。苦しい陣容でも「狙った通りのゲームができていたとは思う」と振り返ったように、突然のメンバー交代を余儀なくされたとは思えない堂々の戦いぶり。「本当に勝てると思った瞬間がたくさんありました。前半は(失点)ゼロでいけたのも、後半にペースをつかんで最後に勝負に出て2トップにしたこともプランとしてあって、その展開に持っていけたので勝てた思いが強くて、だから非常に悔しいです」。そして「選手のプレーは称賛していいと思います」と付け加えることも忘れなかった。

 2試合続けて1-0の勝利となった横浜FCは、しっかり首位をキープ。四方田修平監督は「チャンスに決めきれずに嫌な雰囲気がありました。このまま守られて少ないチャンスをものにされるような試合にならなければいいと思っていました」と正直に明かす。それでも、「相手のコーナーからのカウンターでスピードのある2人で先制できて、最後は体を張って守る展開になったけれど、いまは勝ち点3が一番大事なので、チーム一丸となってしっかり守りきれた意味では選手がよくやってくれました」としぶとく勝つことの意味をかみ締めていた。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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