上写真=西久保駿介はルーキーながら多くのポジションをこなして存在感を高めている(写真提供◎JEFUNITED)
「自分が引っ張っていかなければ」
ジェフユナイテッド千葉がヴァンフォーレ甲府に0-0で引き分けたJ2第28節。最後に最終ラインで体を張ったのは、ルーキーで19歳の西久保駿介、終盤に交代で入っていた2種登録で18歳の桑原晃大と17歳の谷田壮志朗の3人だった。コロナ禍と負傷の影響で西久保のほか、佐々木翔悟と田邉秀斗の急造3バックでスタートしたが、さらにアクシデントも発生して、最後は10代トリオで締めくくることになった。
「自分が引っ張っていかなければという責任感がありました」
西久保はプロ1年目で、しかもサイドバックが主戦場だが、自分よりも経験の少ない2人を導くためにプロの自覚を発揮した。
「自分もそうだったけど、最初は緊張で何もできないから楽しむことが大事だということと、終盤だったのでシンプルに前の選手に任せて後ろはやれることだけやろうと話しました」
無失点のまま終了のホイッスルを聞くことができたのは、3人それぞれにとって確かな自信になっただろう。
「状況としては最初から3バックは即興で、求めていることはミーティングで言い合えました。ただ、試合でどうなるかわからないので、臨機応変に対応しました」
ルーキーながら出番も増えて、7月にはA契約も締結した。3バックの右ウイングバック、4バックの右サイドバック、3バックの右センターバックと、幅広くプレーしている。
「試合も経験させてもらって、試合の中で考えて意見を出す機会も増えてきました。チームを引っ張るやり方にはいろいろあるけれど、コミュニケーションで引っ張っていくことを最近意識しています」
多くの選手がコミュニケーションという言葉を使うが、ともすれば定義があいまいになる。でも西久保は、その目的や効果を具体的に言葉にできる。
「コミュニケーションでみんなを動かすことによって、チームとして動く距離も減ってきますし、その分、カウンターに力を入れるように声をかけていきたい」
無駄を減らす効率化を図って、そのパワーを攻撃に注ごうという「声」なのだ。
「修正するところは後ろでも話しますけど、やっぱりポジティブさが大事。チームが上向きになってつながって得点して、勝利が生まれると思っているので、ポジティブな声が大事だと思います」
8月20日はホーム3連戦の最後の徳島ヴォルティス戦だ。即興3バックだろうが10代トリオだろうが、ピッチに立てば勝利を目指すのみ。
「この3連戦でここまでホームで勝ちを見せることができていないのが、一番悔しいです。自分も最終ラインに入れば無失点はもちろん、セットプレーで得点に絡むようにしてチームを勝利に導きたい」