上写真=高宇洋が今季初ゴール! 飛行機ポーズで喜びを表現した(写真◎J.LEAGUE)
■2022年7月16日 J2リーグ第27節(石川西部/5,574人)
金沢 0-3 新潟
得点者:(新)高宇洋、鈴木孝司2
「トラップで相手をはがして流し込むだけ」
松橋力蔵監督のあんな姿、見たことない!?
高宇洋が飛行機ポーズで今季初ゴールの喜びを表現すれば、鈴木孝司は2試合連続2ゴールを決めて、両手でハートを作って自ら祝福した。アルビレックスがツエーゲン金沢を3-0で下した勝利で、ゴールセレブレーションはそれぞれだったが、なんと言っても高のゴールの瞬間に松橋監督が全身で力強く表現したガッツポーズは、このチームの雰囲気の良さや好調ぶりを物語るようだった。
その松橋監督をはじめ、本人よりも周りが盛り上がった、29分の高の一撃。藤原奏哉のスルーパスで右を割り、松田詠太郎が折り返してこぼれたところを、ペナルティーエリアの手前からワントラップ、そして右足で冷静に転がしてゴール左へと流し込んだ。ボランチとして最終ラインからボールを引き出して展開し、あるいは相手が攻めに出ようとするボールをときに激しく、ときに軽やかに回収して、自らも攻めに出る。前にも後ろにも、右にも左にも顔を出し、攻めて守るスーパーマン。その今季初ゴールだったから、仲間たちの喜びもひとしおだった。
それをさらに増幅させたのが、鈴木の2発だ。後半が始まってすぐに松田が倒されて得たPK。決めれば絶対的に優位に試合が進められる場面だ。
「時間帯も後半開始早々で、そこで追加点を取れてチームとして楽になりました。あの時間のPKはすごく大事になるとわかっていたけれど、しっかり落ち着いて決めることができました」
ビッグチャンスだが、外してしまえば相手に余計な勢いを与えてしまう。その意味を十分に理解した上で、48分、きっちりGKの動きを見切って右に流し込んだ。
ダメ押しゴールもこの人。82分に相手のミスから一気に奪い切った。相手の縦パスがこぼれたところで高がワンタッチで左へ、交代で入っていた小見洋太がすかさず中にドリブルを開始した。中央には鈴木と島田譲。
「ヤン(高)から小見ちゃんに裏に出たときに、中で数的優位だったんですけど、最初は僕のほうがボールの近くにいて、ファーを見たらユズ(島田)がいました。このままいくよりも、ユズがニアに走ってくれて自分がファーに流れたらフリーになるなと思っていたんですけど、ユズから後ろからいい声が出て、いいボールをくれた小見ちゃんとニアで相手をつってくれたユズに感謝ですし、僕はうまくトラップで相手をはがして流し込むだけでした」
島田と鈴木があうんの呼吸でクロスオーバーすることで、相手の守備が一瞬、混乱した。小見もよく見てフリーになった鈴木を選択した。鈴木はワントラップから左足でていねいにゴール左に流し込んで、勝利に一気に近づく3点目を決めた。
前節のレノファ山口FC戦に続いて、2試合連続で2ゴールと調子を上げてきた。これでチームで2番目に多い6ゴールを積み重ねたが、「前半戦は自分でも悔しかった」と話すように、ケガもあってなかなか活躍できなかった。
「徐々にコンディションが上がってきているので、現状に満足せずに毎日毎日成長できるようにやっていきたい」
エースの完全復調と、チームを下支えするスーパーマンの今季初ゴール。2つの「祝祭」が新潟をさらに勢いづけていく。鈴木が「勝てて笑顔で帰ってもらえるのが僕自身うれしいです」とメッセージを送ったサポーターとともに、10月23日の最終節に首位でテープを切るまで足を止めることはない。