上写真=伊藤涼太郎(中央)が3点目。高木善朗(左)、鈴木孝司と、この日の立役者が揃って祝福した(写真◎J.LEAGUE)
■2022年7月10日 J2リーグ第26節(みらスタ/3,684人)
山口 1-3 新潟
得点者:(山)梅木翼
(新)鈴木孝司2、伊藤涼太郎
山口は「魔の時間帯」の2失点
アルビレックス新潟が、再び首位だ。その場所にふさわしい戦いで、アウェーながらレノファ山口FCに3-1で快勝した。
前節でジェフユナイテッド千葉に守りきられてセットプレーから2失点。対策された黒星から切り替えて、この山口戦では相手の戦略を上回る戦いを見せた。技術とコンビネーションの差で押し込んで、前半から新潟のペース。なかなかゴールが生まれない展開だったが、焦れずに攻めの意欲を貫いた。
それが実ったのが、前半も終わろうかという45分のこと。左サイドの中盤で星雄次が相手のミスを誘うプレスに成功、回収した伊藤涼太郎から星、左サイドの高木善朗を経由して崩して、ニアゾーンまで走っていた星の足元へスルーパス、これをマイナスに折り返したところに鈴木孝司が入っていて、右足で先に触ってゴール右に流し込んだ。
迎えた後半にも早々に追加点を決めて、さらに優位に立った。今度はCKの流れから。50分、左から伊藤がファーに送り、GK関憲太郎にパンチングでクリアされたが、高宇洋がダイレクトシュート、強くバウンドして跳ね上がったボールを左ポスト際で鈴木がヘッドで流し込み、連続ゴールでリードを広げた。
山口にとっては「魔の時間帯」で2度もゴールを奪われた。名塚善寛監督も「なかなかはまらなかった」と守備の連動をパスワークで軽快にはがされたチーム力の差を悔やんだが、前半からボールを奪ってつないでも、勝負に出るときの縦パスのほとんどがミスになって新潟を楽にさせてしまった。
73分には新潟がダメ押しゴールだ。今度も中盤で星が競り合ったこぼれ球を伊藤が回収して、素早く高木に預けたところがスイッチになった。右の裏のスペースへスルーパスを送り込むと、鈴木が受けてそのまま鋭く中央へ。走り込んでいた伊藤が確実に流し込んで、ついにリードを3点に広げた。
山口は90分に、途中交代で開幕戦以来の出場を果たしていた梅木翼が一矢報いたが、これが精一杯。新潟にとっては完封で逃げ切れなかった反省が残るものの、地力の差を見せつけて、3-1のスコア以上の快勝だったと言っていい。首位の横浜FCが徳島ヴォルティスに1-1で引き分けたため、勝ち点51で並び、得失点差で上回って3節ぶりの首位に立っている。
新潟の松橋力蔵監督が胸を張ったのは「イニシアチブをしっかり握ったゲームができた」こと。「リズムをしっかり作り上げることが序盤からできましたし、単につなぐだけではなくて前に進めて押し込んだ状態で、次に何をするか、という部分がよくできたと思います」と話し、ヨーロッパのクラブへの移籍のためにチームを離れた本間至恩の不在を感じさせず、狙いとする攻撃のリズムをつかんだ勝利をたたえた。