明治安田生命J2リーグは7月6日のミッドウィークに第25節。2位のアルビレックス新潟は8位のジェフユナイテッド千葉を迎えた。ホームでは無敗で10連勝中だったが、千葉の得意の堅守とセットプレーで前回対戦に続いて勝利を奪われた。千葉はプレーオフ圏内の6位に浮上した。

上写真=勝利を称え合う千葉の選手たち。前節の逆転負けの悔しさを払拭した(写真◎J.LEAGUE)

■2022年7月6日 J2リーグ第25節(デンカS/9,985人)
新潟 1-2 千葉
得点者:(新)島田譲
    (千)西久保駿介、櫻川ソロモン

画像: ■2022年7月6日 J2リーグ第25節(デンカS/9,985人) 新潟 1-2 千葉 得点者:(新)島田譲 (千)西久保駿介、櫻川ソロモン

「自信まで一緒に失わないように」と松橋監督

「今日は勝ち点3の試合ではない」と試合前。

「この勝利は勝ち点3より大きい」と試合後。

 ジェフユナイテッド千葉の尹晶煥監督は、試合前には引き分け狙いを示唆しながらも、終わってみれば2-1で勝利だ。前節で大分トリニータに2点のリードをひっくり返されて逆転負けを食らい、中3日で迎えたアウェーのアルビレックス新潟戦。苦しんだ状況からの、まさにV字回復でつかんだ勝利以上の勝利だった。

 振り返れば、完全に千葉のゲームと言えた。とにかく、守備の戦略が効いた。

 前半は4-4-2の布陣でバランス良く構えて、新潟のパスワークに対抗した。暑さもあって前線から追い回すのではなく、櫻川ソロモンとブワニカ啓太の2トップが自陣にまで下がったところでその後ろをコンパクトに保った。後半開始からは2人を交代すると、今度は5-4-1に立ち位置を変えてさらに堅守を研ぎ澄ませた。尹晶煥監督は「4バックだと90分もつのは難しいので、5バックで安定させながらカウンターに行こうと考えて変更しました」と明かす。

 タイトな守備が大きな効果を発揮すれば、もう一つの武器であるセットプレーも冴えた。13分、右からのFKを田口泰士がニアに走り込んだブワニカ啓太に合わせ、ヘディングシュートはGK小島亨介にはじかれたが、西久保駿介が詰めていた。体勢を崩しながらもゴール右に送り込んで先制だ。うれしいプロ初ゴールが、千葉のJ2通算700ゴールのメモリアル弾になった。

 22分に追いつかれたが守備のポリシーは変えず、ひたすら我慢を続けた。攻めに出たかった一瞬もありながらも、我慢のための集中力が必要なことは、前節の逆転負けから痛いほど学んでいた。後半になって5バックにしてからはより一層、ゴール前に人を固めて新潟の華麗な攻撃を体を張って止めていった。

 すると60分、またもやセットプレーで輝く。田口の右CKはクリアされるものの、秋山陽介がダイレクトでミドルシュート、これを櫻川がゴールに背を向けながらもヒールで角度を変えてゴールに送り込み、2試合連続ゴールで追加点だ。

「選手たちがこの前の試合で精神的に疲れていたけれど、すごい精神力を出してくれたと思う」

「精神的にも乗り越えたし、選手はこの前の試合を反省して、こういう勝ち方をすることで自信になります」

 尹晶煥監督自身も前節の逆転負けに落ち込んだことを正直に明かしていたが、この勝利で払拭。ホームでも勝っているから、これで新潟に対してシーズンダブルを達成し、ついにプレーオフ圏内の6位に浮上してきた。

 新潟にとっては誤算続きだったかもしれない。ボールを動かしてもずれない相手の徹底守備に、なかなか危険な場所に潜り込んでいけない。22分に右の角度のないところからのFKを島田譲が超高速キックでそのまま決めきって、1-1に追いついたのは良かったが、もう1点が遠かった。

 人数をかけて守られながら、チャンスはなかったわけではない。千葉と同じくセットプレーから、田上大地の強烈なロングシュートが飛び出した36分や、島田の左からのCKに藤原奏哉がヘッドで合わせながらバーをたたいた47分。あるいは50分には堀米悠斗のロングパスで左サイドを抜け出した高木善朗が狙ったが、GK新井章太の勇気ある飛び出しに阻まれた。55分にも左から相手の狭いスペースを短いスピードパスの連続で崩して、最後は島田が左から狙ったが、惜しくも右にそれていった。

 松橋力蔵監督の言葉を借りれば「自分たちのクオリティーを発揮する場所に早くボールを持っていこうと意識して、堅い守備かもしれないけれど、相手が嫌な場所に早く入ってくことを試みました。ただ、最後に合わなかったところがいくつかあったのが残念です」ということになる。

 新潟はこれで今季ホーム初黒星。ホームでの連勝記録も10で止まった。首位の横浜FCは引き分けて勝ち点差は2に広がり、3位のベガルタ仙台は勝ったため、1ポイント差に迫られた。千葉とは前回対戦に続いての連敗になったが、「勝ち点3を失いましたが、自信まで一緒に失わないようにしていきたい」と、松橋監督は中3日で迎えるアウェーのレノファ山口FC戦に目を向けた。


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