上写真=尹晶煥監督は新潟の攻撃的なスタイルを止めるために、組織力に意識を置く(写真提供◎JEFUNITED)
「どれぐらい組織的に守備ができるか」
さすがの尹晶煥監督も、本音を少しだけ漏らす。
「すごく落ち込んでいたけど、監督なのでそういうところを見せてはいけないですし、いまは切り替えて明日の試合に向けてしっかり準備しています」
7月2日のJ2第24節、大分トリニータとのアウェーゲームでは、チャン・ミンギュと櫻川ソロモンのゴールで2点を先行しながら、一気に3ゴールを奪われて逆転負けを喫した。試合後の記者会見では、最初の交代が81分、その後はアディショナルタイムになったことに触れ、交代のタイミングが遅れた自らの采配に反省を求めた。改めて5日のオンライン会見では「全体的に悪くはなかったが、運動量が落ちる前に元気な選手を入れておけば、より活発に動けたのではないかと反省しています」と振り返っている。
だからこそ、まさに切り替えに重きを置くゲームが、6日のアルビレックス新潟戦だ。2位と好調の新潟が続けているホーム10連勝中という記録を止めるべく、アウェーに乗り込む。
新潟は41得点20失点で、得失点差21はリーグ随一。対抗するにはどう戦うべきか。やはり尹晶煥監督が強調するのは、いかに守るかだ。
「本間(至恩)選手が中心でサイドから崩してきたり、ペナルティーエリアの近くで決定力のある選手がプレーしてきます。2列目から飛び込んできて攻撃的な形で攻めてくることが多いチームです。いまのチーム状況では、プレッシャーにいくのはそこまで高いところからではないと思いますが、どれぐらい組織的に守備ができるかがカギになると思っています」
新潟対策としては、できるだけ高い位置でボールを引っ掛けてショートカウンターを狙うチームと、ある程度引き込んでから奪って自分たちのターンに持っていくチームに大別できる。尹晶煥監督の考えでは後者に近いということだろう。前回対戦では1-0で勝利を収めているが、このときは前からのプレスを繰り出しつつ、状況に応じて低めに構えて整えてから守備を構築したことで無失点に抑えきった。
「いい守備がいい攻撃につながる」は尹晶煥監督が大事にするポリシーだが、大分に苦々しい黒星を突きつけられたいまこそ、選手たちに伝えたことがある。
「きついときに逃げてはいけない、と話をしています。勝ち切ることを強く意識しないといけないですから、一人ひとりが感じ取ってほしいですし、そうしないと勝つことはできません」
すっかり切り替えが完了した尹晶煥監督に引っ張られるように、試合前日の練習では「選手たちはすごく元気で明るい顔で練習していたので、切り替えはできています」と頼もしく見つめた。「この前の負け方を乗り越えるかで、チームが変わってきます」と意気込む大一番。逆張りのパワーを、好調の新潟を止める原動力にしたい。