上写真=田口泰士は「得点のバリエーションが多くなった」と手応え(写真提供◎JEFUNITED)
「ここにも来てくれるの?」
「得点やアシストという結果は、僕自身がほしいです。今季ノーゴールなので、毎試合狙っていますけど、そろそろ決めたいですね」
得意のミドルシュートが突き刺さる瞬間を見たい。ジェフユナイテッド千葉のサポーターは、誰でもそのときを待ち望んでいる。もちろん、一番求めているのは、田口泰士、その人自身。
ここまで18試合で、得点はなくアシストは2つ。アルビレックス新潟戦で鈴木大輔、FC町田ゼルビア戦でチャン・ミンギュと、どちらもCKを蹴ってヘッドに合わせている。プレースキッカーとしての威力を発揮している一方で、流れの中からのアシストや自らの得点はないから「こだわりたいですね」と表情を引き締める。
ここまで18試合に出場し、直近の6試合はフル出場を続けている。そして、この6試合は3勝3分けで負けなしだ。逆転勝利が一つ、先制されて追いついた試合が2つと、粘り強さが出てきた。「以前よりボールを大切にする姿勢が出てきている」と、チーム全体で落ち着いて試合を運べるようになった感触が大きい。
その安定は、熊谷アンドリューとのボランチコンビがもたらす。どちらも守備に強みを発揮するだけではなく、ボールを散らし、ゴールに迫って攻撃を助ける。熊谷は田口の頼もしさについて「相手の逆を取るのが攻守両面でうまいと思います。自分よりも何ランクも上で、自分とまったく違うなという感じがします。試合中も勉強になっています」と口にしていたが、田口から見ても同じ。
「彼がいると、僕もやりやすいですね。自分がやらなきゃと思っていることをやってくれるので、あまりいろいろ考えないで彼の動きを見ながらこっちも動けばいいと。守備範囲が広いですし、ここにも来てくれるの? というところまでカバーしてくれるので」
2人の安定感は、チーム全体に波及する。第20節のベガルタ仙台戦で鈴木大輔が負傷して、急きょ3バックから4バックに変わってからも負けていない。
「ずっと3バックでやってきていま久々に4バックですが、あまり大きく変わることもないと思ってはいます。プレスに行く場所やタイミングは違いはあるけど、ピッチの中で何か変わった動きが出たり、イレギュラーが出るものなので、やりながら1分でも早くピッチの中で解決していけばいい」
次の相手は東京ヴェルディ。6月22日の天皇杯3回戦でJ1王者の川崎フロンターレを破って、勢いに乗っている。
「勢いがあって、監督が代わったところで一体感を持って臨んでくると思います。その勢いに負けないように、自分たちが勝ちたい気持ちを全面に出して、勝ち点3を奪うために頑張りたい」
こちらも6戦負けなしの意地がある。前回、4月ののアウェーでの対戦は、1-1のドロー。ホームで決着をつけてみせる。