上写真=新潟は15分に松田詠太郎(左)が先制。CKの流れからヘッドで押し込んだ(写真◎J.LEAGUE)
■2022年6月19日 J2リーグ第22節(デンカS/13,922人)
新潟 3-0 秋田
得点者:(新)松田詠太郎、シマブク・カズヨシ、伊藤涼太郎
「圧倒的秋田らしさ」を称えた吉田監督
アルビレックス新潟がブラウブリッツ秋田にリベンジ成功だ。第4節でアウェーで戦ったときには自分たちのスタイルを封じられ、消化不良の展開で0-1の黒星を喫した。だから、後半戦の最初の試合となるこのホームゲームで勝ちたかった。
しかし、非常に苦しんだ。
先制点は15分。左からの高木善朗のCKを舞行龍ジェームズが競り、こぼれ球を田上大地がシュート、さらに右に流れたところを本間至恩があきらめずに残して中央へ送ると、松田詠太郎がヘッドで押し込んだ。4-4-2のブロックをコンパクトに敷いて待ち構える秋田に、セットプレーでリードを奪えたことは大きかった。
だが、後半は秋田のゲームになった。前線にダイナミックにボールを入れて押し込み始めると、得意のロングスローも駆使しつつ、セカンドボールを回収する回数も増えていく。65分にはGK新井栄聡のパントキックから一気に前線へ、相手ミスもあって吉田伊吹が拾って中央に送るが、ゴール前で舞行龍ジェームズにカバーされた。78分には輪笠祐士の左からのインスイングのクロスに逆サイドから入った中村亮太がヘッドで狙うが、惜しくも左に切れていった。89分にも右からのセンタリングが中央でこぼれ、最後は三上陽輔が狙ったがこれも右に外れていく。いつ1点が入ってもおかしくない勢いはあったが、実らなかった。
するとこの大ピンチの直後に新潟が試合を決定づけるゴールを奪う。90分、GK小島亨介のキックを鈴木孝司がヘッドで左前へ、拾った相手が足を滑らせてこぼしたボールを本間が拾い、GKを引きつけて右に渡して、交代で入っていたシマブク・カズヨシがJリーグ初ゴールを無人のゴールに流し込んだ。90+2分にも相手のセンタリングを止めたこぼれ球をシマブクが自陣のペナルティーエリアからドリブルで持ち出し、最後は左に軽く流すと、伊藤涼太郎がGKの動きを見てループシュートで決めきった。苦しみながらも結局、3-0で見事にリベンジ達成だ。
新潟はこれでホーム10連勝として、クラブ記録を塗り替えた。しかし、「うまくいっていることは少なかった」と松橋力蔵監督は厳しい表情。後半はほとんど押し込まれる展開で、ひっくり返すことができなかったことに反省を求めた。一方で、「劣勢のうまくいかない中でも慌てることもなく、イライラせずやることを見定めた結果だと思います」と最後まで集中力を切らすことなく勝ちきった姿勢は評価した。
後半に仕留めきれなかった秋田の吉田謙監督も、一層悔しい表情ではありながらも「後半の圧倒的秋田らしさ、勇敢に戦う姿は良かった」と称えた。これで6試合勝利がない苦境だが、「目の前に壁があったら越える以外ない。自分の力で越えるし、チームのみんなで越えていくしかないと思います」と戦い続ける意志を鮮明にした。