上写真＝伊東俊が充実の表情。2試合連続ゴールでサポーターを喜ばせた（写真◎J.LEAGUE）
■2022年5月4日 J2リーグ第14節（ニッパツ/6,772人）
横浜FC 0-1 熊本
得点者：（熊）伊東俊
「今日は目の前。行っちゃいました」
横浜FCに今季初めて土をつけたのは、ロアッソ熊本が誇るナンバー10の右足だ。J2第14節のアウェーゲーム。伊東俊が90＋4分にゴールを破って、首位チームから1-0の勝利をもぎ取った。
風上に立った前半から多くのチャンスを作ったチームはしかし、ゴールを奪えず0-0のまま時間は進んでいた。伊東がピッチに入ったのは76分。藤田一途、田辺圭佑とともに出場して、攻撃にパワーを再注入した。
90＋4分の歓喜のゴール、きっかけは河原創が中盤でボールを引っ掛けたことだった。それを伊東が拾って杉山直宏に預けるとそのまま左外を回るように走り抜けた。しかし、ボールは出てこない。杉山は内側を向いて中央に横パスを送ると、「特に何も考えていないですけど、あそこを通せる」という感覚に導かれた河原が、ペナルティーエリアの中にいた藤田にずばっと差し込んだ。藤田がそれをフリックすると、そこにいたのが伊東だ。
左サイドで杉山に預けて外を回ったあと、ボールは出てこなかったがそこでスピードダウンせず、そのまま中央に走り続けたのだ。
「外からオーバーラップしたけれど使われなくて、でもそのあとに足を止めずに中に入れたことでシュートを打てました。前節と一緒でプレーを止めない、動き続けることが結果につながったと思います」
伊東は実感を込めて振り返る。前節のいわてグルージャ盛岡戦でも後半から入ってすぐに、右サイドからペナルティーエリアに進入し、パスを預けたあともそのままゴール前まで走り込んだことでボールがこぼれてきて、ゴールに押し込む追加点を決めている。2試合連続ゴールの秘訣は「足を止めるな」だった。
フィニッシュの瞬間はていねいさだけを求めた。
「キーパーは見えていなかったです。ふかさない、枠を外さない、ということだけを意識して打ちました。コースもそんなに良くなかったから、入ってよかったです」
ネットを揺らすとそのまま、目の前で熊本サポーターが陣取るゴール裏に駆け抜けていった。そして派手にガッツポーズ！
「前節はサポーター席と少し距離がありましたけど、今日は目の前。行っちゃいました」
ここでも足を止めなかった。
取材◎高野直樹、平澤大輔 写真◎J.LEAGUE
