2003年から3年半、ジェフユナイテッド市原(当時)の監督を務めたイビチャ・オシム氏が5月1日に永眠した。この報を受けて、現在のチームは黙祷を捧げて哀悼の意を示した。熊谷アンドリューも新井一耀も直接指導を受けてはいないが、歴史の中の偉大な監督へ捧げる勝利を誓った。

上写真=新井一耀(左)と熊谷アンドリューがオシム氏への勝利を誓った(写真◎J.LEAGUE)

喪章をつけて徳島戦へ

 2003年から06年途中までの約3年半、ジェフユナイテッド市原(当時)で監督を務めていたイビチャ・オシム氏が2022年5月1日に永眠した。悲しい知らせを受けて、そのチームを引き継いでいまにつないでいる監督、スタッフ、選手たちは翌朝、5月2日に黙祷を捧げてからトレーニングに入ったという。

「直接関わったことはありませんが、ジェフを強くしてくれた監督だというのは知っています。そういう人たちがいていまがあると思っていますから、次の試合に勝って勝利の報告ができればと思います」

 神妙に勝利を誓ったのは熊谷アンドリューだ。新井一耀も同じく故人を悼む。

「僕は指導を受けたことないので、当時どういう雰囲気だったかわからないですけれど、フクアリにはいまでもオシムさんの横断幕が掲げられていて、ジェフにとって大切な人だという思いは感じています。そのころのジェフの強さで戦っていかなければいけないと思っています」

 オシム氏がジェフの監督に就任した当時、2人は10歳だった。その少年たちがいま、ボランチとして、3バックの一角としてかつて「オシムのチーム」だったグループの中心にいる。

 5連戦真っただ中のJ2リーグ、千葉は直近の第13節大分トリニータ戦に0-3で敗れた。この悔しい完敗を受けて、新井は5月2日に行ったミーティングのテーマを明かした。

「勝利が必要です。勝ちにつなげるために何をするかの確認をしました。勝つためどうアプローチするかをみんなで共通理解として持つミーティングでした」

 熊谷も勝つための守備について話し合いを行ったと説明する。

「まずは守備のプレッシャーのかけ方が一番大事で、それを全員で共通意識として持っていこうという話をしました」

「どこでプレッシャーをかけるかのが一番問題になっていて、大分戦はすべてが後手後手になって、誰がどこに行っていいかわからなくなっていました」

 修正の成果を披露するのが、5月4日の第14節徳島ヴォルティス戦になる。オシム氏への弔意を示して、喪章をつけてプレーする予定だ。オシム氏はかつて「考えながら走る」ことを選手たちに植え付けた。千葉の前身の古河電工OBで、日本サッカー協会の川淵三郎相談役は訃報に触れて、「オシムイズムをもう一度思い起こす時」だと話している。

 熊谷が誓ったように、勝利でその思いを天に届けることで、そしてそれを続けていくことで、千葉の歴史をまたつないでいくつもりだ。


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