上写真=2・3月度のJ2月間MVPを受賞した横浜FCの小川航基(写真◎J.LEAGUE)
一時、調子のいい選手なんて腐るほどいると思う
――「明治安田生命JリーグKONAMI月間MVP」、J2リーグの2・3月度の受賞者が小川航基選手に決まりました。率直な感想を聞かせてください。
小川 素直にすごくうれしいです。僕自身、初めてこういった賞をもらうので。ただ、まだまだシーズンは始まったばかりでここからが大事だとも感じています。一喜一憂せずにやっていきたいと思います。
――2月・3月の7試合で6ゴール。見事な活躍でした。
小川 まず第一に、チームコンセプトとサッカーのスタイルが攻撃的で、前線の選手にチャンスが数多く来るという前提があります。そこで決め切れていることがゴールを挙げられた大きな理由だと思っています。
――チームはいまだ無敗で首位を走っています(9節終了時点)。その要因を挙げるとすると?
小川 今はチームの雰囲気がいいですし、練習からみんなが意識高くやれています。その中でも先発は試合によって替わっていますし、層の厚さを感じると同時に緊張感がある。選手層の厚さはJ2でもトップクラスだと思いますが、チーム内にライバルが多いことも現在の成績につながっているんじゃないかと思っています。
――開幕当初と比べてチーム内の雰囲気に変化は?
小川 「俺たちが首位だ」と慢心するような様子はまったくないですし、試合に出て勝ったとしてもスタメンが替わったりするので、緊張感があります。僕はこれまで勝っているときはメンバーを替えない監督に出会ってきたのですが、四方田監督はパフォーマンスが悪ければ替えますし、100パーセントでプレーできなければ自分の居場所がなくなるという危機感を選手みんなが持っていると思います。それがいまの層の厚さにもつながっていると感じますね。
――小川選手はその中でもここまで全試合先発しています。信頼を感じるのでは?
小川 まだ、信頼し切ってもらっているとは思わないです。一時、調子のいい選手なんて腐るほどいると思うし、本当の意味で信頼を勝ち取るにはコンスタントに点を取り続けることが大事。たとえばチームが悪い状態になったときに、どういう振る舞いや貢献ができるのか。それができてこそだと思うので、信頼を勝ち取れるように続けていきたいです。
――2月・3月の7試合でとくに印象に残っている試合はありますか。
小川 印象に残っているというところでは0-2から逆転した水戸戦ですね(第4節・3-2)。チーム力がなければ、なかなか0-2からひっくり返せないと思うし、みんなが焦って点を取りいくというよりも、「自分たちには力があるから」というところでどっしり構えて自分たちのサッカーを貫けた。そこが大きかったです。あとは長崎戦は1-0でしたけど(第2節)、相手に強力な外国籍のFWがいたり、個が強いチーム相手に、そこまで内容は良くない中でも勝ち切れた。
――水戸戦では中村俊輔選手のCKから決勝点を挙げました(ヘディングでゴール)。桐光学園の先輩からのアシストです。
小川 僕はジュビロ磐田でもシュンさんとプレーしていますが、桐光学園の先輩後輩という関係もあって、ずっとシュンさんのアシストからゴールを決めたいと思っていました。水戸戦は2-2という状況でシュンさんが出場して、ああいう形で決められたというのはすごく劇的でしたし、本当にうれしかったです。
――試合後に何か話しましたか。
小川 とくに話していないですね(笑)。シュンさんも一喜一憂しないので。(ゴール直後に)ワーってなっているときに言ってもらったぐらいで、そのあとに「あそこはこうだったよな」という話はとくになかったですね。
――これまでと現在とでゴールに対する意識は変わりましたか。
小川 自分の一番のストロングポイントはゴールを奪うところだと思っています。ただ、得点にだけめちゃくちゃどん欲かと言われたら、そうではないと思っています。今はゴール前でも周りが見えるようになりましたし、一番いい選択ができるようになりました。心の底には常にゴールを取りたいという思いはありますけど、その気持ちを100パーセント前面に出している感じではなくて、今はいい感じで力が抜けて、良いシュートが打てていると分析しています。この状態を保っていきたいですね。
――今季は、ジュビロ磐田から横浜FCに完全移籍しました。改めてその理由を聞かせてください。
小川 ジュビロでなかなか活躍できなくて、もがいている中で2019年に水戸に期限付き移籍したことがありました。そこで自分が求められている場所に行き、何ができるかを経験できた。自分の中でどんな変化が起こるかも知りました。今回、タイミング的に環境を変えるチャンスがあって、変えたときの自分のメンタル面については水戸での経験がありますし、J1からJ2のクラブへの移籍になりましたが、自分をイチから出していくところで挑戦してみたいという思いになりました。