上写真=今季の中心選手の一人、川崎颯太。昇格に大きく貢献した(写真◎山口高明)
俺が上げるんだという気持ちを芽生えさせてくれた
「ホッとしました」
昇格を決めた川崎の素直な気持ちだった。
「(3位の)甲府さんと勝ち点差は離れていたんですけど、甲府さんはすごく素晴らしいチームでプレッシャーはゼロじゃなかった。本当に今日、勝ち点が1でも取れてまずはホッとしているという思いがあります」
引き分け以上で昇格が決まる状況だったものの、やはり重圧を感じていた。前節の岡山戦は、その点で硬くなりすぎた。だがこの日の千葉戦ではチーム本来の気迫と積極性を取り戻していた。川崎はアンカーとして攻守両面で働いた。
今季の川崎はチョウ・キジェ監督のもとで飛躍的な成長を遂げた。出場数も格段と増えた。昨季は16試合の出場だったが、今季はここまで出場停止の1試合を除く40試合に出場。うち先発は38試合。文字通りチームの中心としてプレーした。指揮官もその成長を認め、アカデミー出身者としていっそうの飛躍を期待していると話す。そして本人も、自身のプレーが京都の未来に影響すると自覚している。
「僕は高校からサンガにきたので、(昇格できなかった)12年間の重みとか苦しいシーズンとかはあまり分からないですけど、アカデミーのスタッフからは『お前らがプロになってトップチームを変えるんだぞ』『お前らがJ1に上げるんだぞ』という言葉を、僕がユース(U-18)にいるときから言われていました。プロに入って、俺が上げるんだという気持ちは、アカデミーのスタッフが芽生えさせてくれました」
京都のために戦う意識は、人一倍強い。チョウ監督からは「お前らアカデミー(出身者)が勝たせるんだ」と言われ、加藤久強化育成本部長からは「アカデミーが京都の宝だから、お前らが活躍することで京都の子どもたちが元気になるし、京都のサッカーを盛り上げてほしい」との言葉をもらった。川崎は「自分たちがJ1昇格に貢献したというのもおこがましいですが、実際にプレーし、チームを勝たせたりとか、この1年を通して戦えたのは幸せだと思います」と改めてアカデミー出身としての使命についても口にした。
来季は自身にとって初めてのJ1挑戦になる。中心選手としてシーズンを通じてプレーし、J1昇格を争い、そして結果を出した経験は大きな自信になったはずだ。次はその力を日本最高の舞台で示す。川崎は、さらなる成長を誓っている。