上写真=松本大弥が2節以来のフル出場。左サイドバックで存在感を示した(写真◎J.LEAGUE)
■2021年7月18日 明治安田生命J2リーグ第23節(@NACK/観衆4,567人)
大宮 2-2 琉球
得点者:(大)イバ、黒川淳史
(琉)上原慎也、赤嶺真吾
「自分が内側でプレーすることを意識して」
新しい挑戦が心地よいようだ。松本大弥がサイドバックの楽しさに目覚めている。
「いまは自由に動けている感じですね。得点やアシストを増やしていきたいと思っています」
今季、サンフレッチェ広島から期限付き移籍で加わったボランチはいま、サイドバックにチャレンジ中だ。J2第23節のFC琉球戦では左サイドバックで先発。試合の最後までピッチで戦い抜いたのは、3月6日の第2節ヴァンフォーレ甲府戦以来となったから、本当に久々だった。
この琉球戦では、いわば「サイドバック+ボランチ」とでも言えそうなふるまいで自分らしさを表現した。特に0-1で折り返した後半開始から左利きのドリブラー柴山昌也が左サイドハーフとして起用されると、ライン際に大きく開いて勝負を仕掛ける柴山を後ろから上手にサポートして、内側のエリア――つまり、これまでプレーしてきたボランチのような立ち位置――に入って攻撃を促し、自らも機を見て前進していく姿が印象的だった。
「基本的にシバが外に張って、自分が内側でプレーすることを意識していて、シバにいいタイミングでボールが入れば、相手のサイドバックの食いつき次第でペナルティーエリアぎりぎりのあたりが空いてくるので狙っていました」
ボランチの嗅覚がサイドバックでも生きている。
「チームとしての大枠は決まっていて、相手を見ながら自分で動いているという感じですね。決まりごとはあるけれど、タイミングは自分の感覚で」というから、うまくアドリブを加えている。「ドリブルは自分の武器ではなくて、タイミングで裏に出ていくのがいいところだと思うので、そういう部分を出していければ」と、オリジナルなサイドバック像を築いていく。
まだまだ成長途上だけに、「クロスの質やシュートの質を高めないと勝てないですし、一人ひとりが意識してクロスやシュートにこだわっていかないといけないと思います」「勝ちきれなかったのは絶対に反省することがある」と課題を見つける回数のほうが多い。
それでも、「いい形で攻撃に行けましたし、守備でも失点はしたけれどしっかりできていたところもあるので、悪くはなかった」と手応えもある。開始4分にいきなり、右サイドからの馬渡和彰のセンタリングが流れてきたところで、逆サイドの深い位置まで出ていって鋭くシュートを放ったシーンもあって、この積極性こそが、どのポジションでプレーしようとも、松本の頼もしさの源なのだ。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE