上写真=「強さ」の象徴となったのがロメロ・フランク。先制点につながるパワフルなドリブル、3点目のアシストになるポストプレーなど頼もしかった(写真◎J.LEAGUE)
■2021年7月11日 明治安田生命J2リーグ第22節(@デンカS/観衆10,188人)
新潟 3-0 栃木
得点者:(新)高木善朗2、谷口海斗
田坂監督「サイドのパワーは雲泥の差があった」
J2リーグの「後半戦」のスタートで、まったく異なるスタイルのアルビレックス新潟と栃木SCが激突した。
栃木のスタイルはまさに「激突」といった趣で、自分の体をしっかりと相手の体に当てるパワープレス、ひとまず前線に放り込んでおいて矢野貴章を中心に競って、こぼれ球を狙う戦いで序盤から挑んでいった。ボールにアタックするスピードも迫力があったが、皮肉だったのはこのスタイルが逆に新潟の技術の高さを引き出したことだった。
新潟は序盤こそ栃木のパワーに様子見の時間があったが、12分に先制した頃には目が慣れていた。そして、強さには強さで凌駕した。自陣右サイドで面矢行斗から強奪したロメロ・フランクは、その面矢を強引に振り切って前へ前へと迫力を持って突進。右前の谷口海斗につなぐと、逆サイドから真横に走り込んできた高木善朗にセンタリング、右足のシュートはGKオビ・パウエル・オビンナに防がれたが、こぼれ球をそのまま左足でたたき込んだ。
31分には福田晃斗が中盤で体を張ってボールを相手に渡さない強さを見せたあと、こぼれ球を左外に回して星雄次が深く入っていくと、同じくマイナスへセンタリング。再び高木が走り込んで左足で突き刺した。どちらも強さで運んでうまさで仕留める新潟らしさがにじみ出た。
それは3点目も同じこと。65分にセカンドボールを前向きで奪った堀米悠斗がそのままドリブルで直進、ロメロ・フランクをポストに使い、左に流したところで谷口が左足でニアのトップコーナーをぶち抜いて、勝負を決めた。
栃木のハイパント攻撃も疲れとともに徐々にパワーを失い、このまま3-0で新潟が勝利。3試合ぶりの完勝で勝ち点3を手に入れて、3位に浮上した。
アルベルト監督はもちろん、満足の表情。「スタートから栃木さんが前線からハイプレスをかけてくるのは予想していました。賢い判断でそこを打開して前線で数的同数を狙って攻めました。早い段階で先制できたことがポジティブな流れを作った要因で、背後に空いたスペースを突くこととコントロールする2つのバランスが良かった」と堂々の勝利を振り返った。次節は2位の京都サンガF.C.との対戦。勝てば順位を入れ替えて2位に返り咲くことができる。
栃木は7試合勝利なし。田坂和昭監督は「前半は守備も攻撃もまったくやろうとすることができなかった」「サイドのパワーは雲泥の差があった」「スリッピーなグラウンドで止める蹴るのところで収められなかった」と個々の差を指摘して完敗を認めた。「後半は修正して守備をはめることもできていたので、それを前半からできるようにしていきたい」と次節へ切り替えていた。
写真◎J.LEAGUE