7月3日の明治安田生命J2リーグ第21節で、アルビレックス新潟がジュビロ磐田に敗れて4位に後退した。特に3失点を重ねた前半は集中力が散漫になり、千葉和彦も「力負けです」とうなだれた。しかし、後半戦の21試合が残っている。その言葉をリベンジへの、昇格への第一歩にしてみせる。

上写真=千葉和彦は3失点目に絡む痛恨のミスも、谷口海斗が決めた2得点目のきっかけになる縦パスを通した(写真◎J.LEAGUE)

■2021年7月3日 明治安田生命J2リーグ第21節(@エコパ/観衆13,652人)
磐田 3-2 新潟
得点者:(磐)松本昌也、ルキアン、森岡陸
    (新)ロメロ・フランク、谷口海斗

「たらればですけど、あれを前半からやれれば…」

 痛恨のイエローカードだった。31分、同じセンターバックの舞行龍ジェームズから届いた横パスを収めて前を向いた千葉和彦は、いつものように得意のパスでビルドアップしていくはずだった。しかし、顔を上げると出す場所がない。ジュビロ磐田のていねいな守備戦術でパスコースにフタがされていた。

 この一瞬を狙って待っていた磐田のボランチの山本康裕がぐっと前に出て、千葉の足元に襲いかかる。ボールをつつかれて入れ替わったところで思わず手で引っ張って山本のドリブルを阻止、すぐさま笛が鳴ってイエローカードを提示された。

 これで与えたFKを前線に送られ、こぼれ球も拾われて運悪く相手のミスキックがゴール前に流れて押し込まれた。32分でまさかの0-3。後半になんとか2点を返したから、結局これが決勝ゴールとなってしまった。

「力負けです、はい」

 試合後の会見で、それが千葉の第一声だった。

「混乱というか、配置のところで中で人数をかけて動かそうという意図を持っていました」

 配置で言えば、4-2-3-1の新潟に対し、磐田は3-4-2-1から守備では5-4-1に変化する柔軟性で幅を消してきた。

「ボールは持てたけれど、取られたあとにすぐに取り返せないと、(新潟の背後に)スペースがあるので後追いで戻りきれず、そこで相手が出てきて走力で負けてしまいました。そこがボール握った上での課題だと思いました」

 千葉が警告を受けたシーンでは山本が鋭く足元に飛び込んできたし、最前線には俊足FWルキアンもいる。2失点目もカウンターで素早く右サイドを割られている。そのスピード感に後手を踏む格好になった。

 前半だけで3失点。チーム全体でとにかく、立ち上がりから集中力が散漫になった。前向きにボールを運ぶ相手へのチェックが甘く、自由に前進されたことが失点に直結した。後半は開始から4-3-3システムに変化して押し込み、2点を返して追い詰めたし、その2点目は千葉の縦パスがきっかけだったから、攻撃でもしっかりと力を発揮していた。だからこそ、前半の空白が悔しい。

「たらればですけど、あれを前半からやれれば、と頭ではわかっているけれど、相手を見ながら考えながらできるようになれば、もっと守備においても相手が嫌がることができると思います」

 磐田の攻撃のやり方をじっくりと観察する時間に立て続けに失点を食らったことが、何よりの敗因だった。

「後半は配置を変えて、相手も3点を取っているので無理して取りに来なかったですけど、自分たち次第で持ち直せると思いました。でも、結果として負けてしまったので受け止めないといけない」

 最悪の前半と、希望の見えた後半と2つの顔を見せた90分。前半戦最後の試合に2-3で敗れたことで、4位に後退した。最初の21試合で手に入れた勝ち点は41。アルベルト監督は「後半戦はそれ以上の勝ち点を取る」と力強く宣言した。

「上位の相手にしっかり戦えないと、上に食らいついていくのは難しいと改めて感じました。でも、自分たちを高めることさえできれば、相手が上のチームでも勝ち点は取れるなと、その2つを今日は特に感じました」

 これが千葉の前半戦総括。残り21試合を迎える前に得た教訓が、最後の最後に生きてくるに違いない。

写真◎J.LEAGUE


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