上写真=ルキアンが守備でも先頭に立ってプレスを仕掛ける。その献身がチームに好影響を与える(写真◎J.LEAGUE)
「チームのために動けばゴールは生まれる」
「自分は守備をするスタイルを持っています」
スピードを生かしたアタックでスタンドを沸かせるから、FWルキアンの魅力は攻撃、だけだと思ったら間違いなのだ。俊足は高速プレスにも生きている。
J2の前半戦最後となった第21節のアルビレックス新潟戦でもそうだ。6分に松本昌也が先制してからはじっくりカウンターを狙いながら、味方と連動して相手のパス回しのペースを落とさせていった。ルキアンにとって守備は「コミュニケーション」だという。
「守備で伝えたいのは、ハードワークをすることはコミュニケーションだということ。後ろの選手がそれを見て、オレもやらなきゃというメッセージになってチーム全体が良くなればと思っているんです」
守備のスイッチという物理的な機能としての役割があることはもちろん、自分が守備に集中することがチーム全体の意識を高めるメンタル面の効果を自覚している。
これまではそれが無失点という形で表れたが、この日はチームの流れを決定づけるチーム2点目を決めてみせた。18分、大津祐樹がカウンターで左サイドを抜け出すと、ニアは鈴木雄斗に任せてルキアンはファーへ。蹴り込むだけの最高のセンタリングが飛んできて、右足インサイドできっちりとプッシュした。ヒザを立て、大津の左足をその上に乗せて靴磨きのパフォーマンスで感謝を表した。
「日々の取り組み、努力がゴールにつながります。ゴールのない期間が続きましたけど、その中でもチームのために動けばゴールは生まれると思っていました」
5月29日のツエーゲン金沢戦で1-0の勝利をもたらした決勝ゴール以来、5試合ぶりの一撃を喜んだ。これで今季11ゴール、得点ランクトップタイだ。チームも今季初の首位に立った。
「自分としては、これから首位に立っていることを忘れて、1試合1試合大事に、いつも最後の試合だという気持ちでプレーしたいと思います」
開幕戦で後半から登場した以外は、すべて先発出場を続ける攻撃者であり守備者。後半戦も最前線から磐田を高みに導く。
写真◎J.LEAGUE