ジェフユナイテッド千葉は勝ち星を拾えていないとは言え、失点は少ない。その理由の一つが、3バックの安定だろう。チャン・ミンギュ、鈴木大輔と組むのが岡野洵。ロングスローも武器にしていて、攻守に貴重な役割を果たしてぐんぐんと伸びていく真っ最中だ。

上写真=岡野洵は自信とチームの両方で成長を感じて、充実のとき(写真提供◎ジェフユナイテッド千葉)

「後ろが3枚になってからやられない」

「今年になってこんなに投げられるのを知ったんです」

 岡野洵が、秘めた能力をついに解放したようだ。自分でも気づかないうちに。

 ロングスローはいま、ジェフユナイテッド千葉の武器の一つ。スローインがセットプレーのビッグチャンスとして機能してきた。投げるのが岡野。

「もともとウイングバックの選手が投げていたんですけど、ロストすることもあったので3バックの左右の選手が投げようということになったんです。ある試合の前日に投げてみたら、飛びそうだなという感覚があって、実際に試合のときに『もっと奥に行け!』って味方に言っちゃって、これは飛ばさないといけなくなったな、と思って投げたら、飛びました」

 トレーニングを重ねて、というわけではなく、自然体で投げて飛ばしてしまうのだから恐ろしい。

「僕の身体能力があったら飛ぶだろうな、と感覚的にはありました。コツと言えるかわからないけど、投げる最後に指で回転をかけると伸びる感じがあります」

 千葉は5月23日のJ2第15節のFC町田ゼルビア戦から6試合、複数失点がない。その間の勝敗は1勝2分け3敗と厳しいが、守備が耐えられなかったらもっと悪化していたことになる。3バックの右に入る岡野にとっては、守備の手応えは確かなものがある。

「なかなか勝てない試合も続いていますけど、後ろが3枚になってからやられないというのが感覚的にはあって、あまり怖くないなと感じているんです」

 中央のチャン・ミンギュ、左の鈴木大輔とで築く3バックとGK新井章太が、最後の最後で相手を食い止めている。

「前向きの守備で取れて、ゴールにはならないけれどシュートまで持っていけるシーンが増えてきたと思います。そこはユンさん(尹晶煥監督)も選手も意識しているので、手応えを感じています」

 前に向かってボールを奪って、その勢いでゴールに迫るスタイルが浸透しつつある。岡野自身の成長が与える効果も大きい。

「いままでならもうちょっと受け身になっていた部分が、強い気持ちを持って前向きにプレーできていると感覚的に感じます」

「試合に出ることに慣れたということと、自信を持ってプレーしたときにはアシストも含めてチームにいい影響を与えられています。自信を持っていいんだな、と消化してやっています」

 そのアシストは、5月5日の第12節レノファ山口FC戦で決めている。まるでウイングバックのように右サイド高くまで進出し、受けた横パスをワンタッチでクロス、ニアの船山貴之に合わせた。そんなシーンをもっと見せたい。

「攻撃の回数を増やしたいと思っていて、僕のやるべきことは無失点で終えることですけど、チームを活性化するためには運動量を出して何回も顔を出さないといけないと思っています。いまやっているクロスやオーバーラップのところで、クオリティーをもっと上げていきたい」

 今季は20試合のうち、14試合で先発、1試合で途中出場の計15試合に出場している。実はこれがキャリアハイ。伸び盛りのいま、その数字をどんどん積み重ねて、さらに遠くまで進んでいくつもりだ。自然体で長距離を飛ばす、そのロングスローのように。


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