上写真=佐々木則夫監督が初陣を飾れず。「勝たせてあげたい思いが強かった」(写真◎J.LEAGUE)
■2021年5月29日 明治安田生命J2リーグ第16節(@NACK/観衆4,351人)
大宮 0-2 千葉
得点:(千)見木友哉、サウダーニャ
「なんだか知らないけれど勝利の女神が遠ざかっている」
残念ながら敗戦を告げるホイッスルがNACK5スタジアムに響き渡ると、佐々木則夫監督はマスク越しにも悔しさの分かる表情でスタッフとグータッチして初陣を終えた。
5月25日に監督交代が発表され、新監督が決まるまで暫定的に監督として指揮を執ることになった。この日のために準備できた練習は4日のみ。
「今日は必ず勝ち点3を取ろうという気持ちで、スタートから全開でいこうと。ハイプレスを意図的に仕掛けて、今週は4日だけのミーティングとトレーニングでしたが、やろうとしていることは100パーセントは成功しないものの、そういう意識の中でやりました」
その言葉の通りにボールを回収しては素早く動かし、最前線に立つネルミン・ハスキッチのポストを起点にセカンドトップの黒川淳史がからみ、左右に展開していく意図を見せて押し込んだ。40分に先制されるまではうまくいっていた。
「我々にも好機はありましたけど、なんだか知らないけれど勝利の女神が遠ざかっている傾向がありますね」
戦術的なこともそうだが、大前提として短い期間に選手に伝えたのは「ゴールは前にあるということ」だった。
「自分たちがイニシアチブを持った守備でボールを奪おうとして、そうすることで点につながっていくんだということをやってきました。あとは多少メンタルの部分で鼓舞させました」
監督としての試合勘に問題はなかったという。
「イメージを伝えて指導した中で、しっかり選手が感触を感じてアクションしてくれたのは指導者冥利に尽きますね。その中で私が勝たせられなかった大きな反省です。この状況で前を向いて一生懸命練習してくれて、親父みたいな監督に代わってでもしっかりとついてきてくれる献身的な思いも感じて感動しました。彼らに勝たせてあげたい思いが強かった」
その思いを勝利で果たすのは、次の試合に持ち越しだ。
「指導者は結果を出させてあげるのが大きな役割です。僕が反省しつつも次があるので、上積みして質を上げて金沢戦に向かいたいと思います」
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE