大宮アルディージャで暫定監督を務めることになった佐々木則夫監督が、オンラインで取材に応じた。現在チームは21位に低迷。ここから一気に上昇するのは簡単ではないが、自分が指揮する間に「現実的なサッカー」で勝ち点を積むと意気込みを示した。

上写真=25日からトレーニングを指導している佐々木則夫監督。千葉戦の勝利を誓った(写真提供◎大宮アルディージャ)

「勝ちます!」

 岩瀬健監督の解任を受け、後任監督決定までバトンをつなぐ形になったのが、佐々木則夫トータルアドバイザーだ。これまでは指揮官を支える立場でもあったが、監督解任に際し、悩めるチームを率いることになった。就任の経緯については、「岩瀬監督をサポートしていかなければならない立場の私自身、さまざまな内情も理解していたつもりですが、岩瀬監督も選手も頑張っていながらなかなか結果が出ない状況でした。その中で状況を変えなければいけない。まだまだJ1昇格を捨てきれないというところで、対処が必要だと。順位を一つでも上げなければいけない状況で、何かをやらなければいけないと。それが自分の使命だと思っていました。そこで(監督の)要請があったので、お受けしました」と説明した。

 2011年になでしこジャパンを女子ワールドカップ優勝に導き、2012年のロンドン五輪と2015年の女子W杯では準優勝。長く女子サッカー界で活躍してきたが、監督としての原点は自身もプレーしていたNTT関東サッカー部。つまりは大宮アルディージャの前身である。98年に名前を現チーム名に改称した際にも監督を務めていたが、まだJリーグ参入以前のことだった。2016年からチームのアドバイザーの立場にあったが、23年ぶりに大宮の指揮を執ることになった。

「岩瀬監督には、数年後の大宮アルディージャも想定した中で、さまざまなトライをしてもらいました。各チームはそうしながらも、しっかりと勝ち点を取って上位へということでやっていると思いますが、(大宮の)現状はそうなっていない。理想と現実がちょっと合わず状況が変わってきていました。そういう意味で、勝ち点を1つでもあげたいと思っています。引き分けよりも勝って1試合で勝ち点3を取ることを目指し、現実的なサッカーをやっていかなければならない。それがいま必要なのではないかと思います。僕自身はそれを選手に伝え、それを踏まえて、何試合になるか分かりませんが、僕自身が指揮しているときには選手に現実的に勝ち点を取れるアプローチして、やっていきたい」

 現在、チームは21位。能動的にゲームを進めるスタイルの確立を目指したが、ここまで理想は理想のままで終わっている。現実との大きな乖離を修正すべく、佐々木監督は今週火曜日のトレーニング初日から前への意識を出すことや声掛けの徹底などベーシックな部分を見直すことに努めたという。何より佐々木監督らしいのは、選手に自分を「ノリさんと呼べ」と要求したことだ。

 年の差がある「63歳の白髪頭のオヤジがやってきた」と感じているであろう選手たちの警戒心を解き、短い時間で人心掌握するための指揮官なりの配慮だろう。「僕に監督が代わって、ちょっと景色の違うオヤジが来たなと言う感じで、(選手は)やらなければいけないと感じていると思います。僕がアプローチしたときには反応がいいですし。ただ、僕のギャグはあまり、年齢差があるからか反応がにぶい。そこは気になります(笑)」。努めて明るい雰囲気も演出している。

 もちろん、「俺に任せれば、自信をもって勝ち点を取らせる戦い方をさせる」と強い姿勢も示し、勝利への意欲も見せている。「ゴール前の攻守において、体を張るだとか、飛び込んで足に当ててでもゴールにするだとか、そういうものを要求しています。結果が出るかどうかは、そんな簡単なものじゃないので分かりませんが、(選手が)受け入れてくれていると自負しています」と、チームの変化を感じ取っていた。

 今回の監督交代は、クラブの遅きに失した決断か、それとも起死回生の一手かーー。佐々木監督の初陣はチケットが完売している29日のホームゲーム、千葉戦。危機感を胸に携えて、しかし、どこまでもポジティブな雰囲気とともに指揮官は会見の最後に言い切った。

「勝ちます!」


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