上写真=3試合ぶりに帰ってきたキャプテン。佐藤和弘が松本の守備を引き締めた(写真◎J.LEAGUE)
■2021年5月9日 明治安田生命J2リーグ第13節(@デンカS/観衆13,101人)
新潟 0-0 松本
「どっちに転んでもおかしくないゲーム」
3試合ぶりに帰ってきた松本山雅FCのキャプテンが、無敗で首位のアルビレックス新潟を相手にもさすがの存在感を示した。
負傷明けということでコンディションは「まだまだ戻っていないところがありました」と認めつつも、きっちりフル出場。「チームのみんながカバーしてくれたので、90分できました」と仲間に感謝するところは、さすがキャプテンだ。
成果としては、新潟を相手に無失点で封じ込んだことだろう。ここまで31ゴールの攻撃力を無力化して、今季初めてノーゴールに抑えてみせた。ポイントは絶好調のドリブラー、本間至恩をストップすることだったが、柴田峡監督は大野佑哉にマークを命じつつ、本間とは逆サイド、こちらの左サイドにボールを動かすような守備を貫いた。佐藤もボランチとしてそのタスクの実行に大きく貢献した。
「前半はトヨ(阪野豊史)をサイドバックに行かせることによって(新潟の)左からの進入を防げたのがはまって、いい形ができたと思っています」
堀米悠斗から本間へのパスを寸断することで、危険なシーンの「予防」に成功していた。前半の飲水タイム明けには本間がいつもの場所を避けて中央にポジションを移したことでも、その効果が分かるだろう。
守備はおおむね成功。そこからの攻撃が課題になりそうだ。
「意識していたことは特にないですけど、こちらの左サイドで相手の右サイドバックとサイドハーフのところがあまりうまくいっていなかったので、それにつけ込んでクロスを上げられれば怖い形になったかなと、やっていて思いましたね。ピッチの中では外山(凌)と下川(陽太)と話をしながら、サイドを変えないでそっちで崩そうと話していました」
新潟の右サイドバック藤原奏哉と右サイドハーフ星雄次の関係に緩みがあると見抜くのは、さすがの視点。対面のワイドに入る外山と3バックの左の下川を生かそうとするマネジメント能力は、この人ならではだろう。
これで連勝は3でストップしたものの、2つの3連戦で3勝2分け1敗と調子を上げてきた。
「苦しみながらも勝ってきたことは、チームとしてはすごくポジティブな要因です。ただ、今日のようにどっちに転んでもおかしくないゲームのときに、先制点を取れて勝ち点3をつかめなければいけないのが今後の課題です」
その課題に立ち向かうチームに、信頼の厚いキャプテンが帰ってきたことが何より頼もしい。