上写真=初陣となるギラヴァンツ北九州戦を前に、松田浩監督がオンラインで会見。熱い言葉で逆襲を誓った(写真提供◎V・ファーレン長崎)
「自分との戦いに勝っていく」
ゴールデンウィークのさなかの5月3日に、V・ファーレン長崎の監督交代が発表された。新しい指揮官は、松田浩。アカデミーダイレクターからの「転属」だ。吉田孝行前監督はアシスタントコーチとしてチームに留まることも発表された。
松田監督はヴィッセル神戸、アビスパ福岡、栃木SCで監督を歴任し、J1では100試合34勝26分け40敗、J2では345試合134勝86分け125敗という数字を残している。4チーム目でのチャレンジは「急な登板ですし試合が立て込んでいて、目の回るような毎日を過ごしています」というスタートだ。「急なことですし大変な状況だと思いましたが、ここに私がいる意味は、何かお役に立てることをやらせてもらえることですので、それが引き受ける決断になりました」と故郷のクラブの立て直しに意欲を燃やす。
今季の長崎はここまで4勝2分け6敗の15位。J1昇格圏内の2位FC琉球とは勝ち点15の差がある。でも、まだ追いつけない数字ではない。
所信表明となった5月7日のオンライン会見では、松田流のキーワードが数多く飛び出した。
「勝つことからの逆算」を求める中では、厳しい勝負の世界にあるプロは勝利を求めてベストな方法を選んでいく作業が大切だとした。そのために必要なのは「同じ絵を全員が描きながらやっていく」ことだという。「J2を見渡せば個の力は揃っているチームですが、個の力だけでは、11人がまとまったチームに負けることがあるのがサッカーというスポーツの特性」だからだ。
先のことを見据えるよりも「一戦必勝のイメージ」で目の前のゲームに集中する。それを繰り返していくことで「サッカーはメンタルのスポーツなので、上位にプレッシャーをかけることになって上位の伸びが鈍れば自分たちにチャンスが増えていくことになる」と考えている。だからこそ「いまをとにかくいい試合にすることだけが当面の自分の中での目標」なのだ。
新たな戦いに挑む中で、選手たちに求めるのは「正しいこと」と明快に説明する。
「これまでのサッカー人生で正しいと思ったことはやっていい。サボることはやめてほしいけれど、正しいと思うことを正々堂々とやっていくことに関しては、勇気を持ってやってほしい。はっきりした行動を取れば、もし間違えだったとしても周りはカバーしやすいですから、正しいと思ったことはやり遂げてほしいと思います」
「萎縮しながらとか、監督がこう言ってたからと考えながらではなく、体で表現するものだからダイナミックにやりたいと思ったことをやってほしい。正々堂々としてやることはいくらでもやっていい。ただ、約束してくれと言ったのは、サボるとか手を抜くとか、ポジションに戻らないとか絞らないとか、そういうことはやらないでくれということです」
まずは5月9日の第13節でギラヴァンツ北九州が立ちはだかる。
「相手のやり方より、自分との戦いに勝っていって、本当に試合にかける気持ちを持ってやれるかどうかが勝敗のカギを一番握っているのではないかと思います」
さあ、再スタートだ。