上写真＝中野誠也は同点ゴールで充実の表情。緊急出場となったが激しいプレスでも貢献した（写真◎J.LEAGUE）
■2021年5月5日 明治安田生命J2リーグ第12節（＠NACK/観衆4,275人）
大宮 2-3 新潟
得点：（大）中野誠也、ネルミン・ハスキッチ
（新）早川史哉、本間至恩、星雄次
「裏を取ることだけ考えました」
「現実は現実です」
中野誠也は敗戦を認めるしかなかった。J2第12節で大宮アルディージャは首位のアルビレックス新潟を迎え、15分に先制されながら、2-1と逆転する。しかし、そこから再逆転を許して2-3でまたも勝てなかった。
決して悪い流れだったわけではない。先制されたあと、菊地俊介が相手とのコンタクトで首を痛めてしまい、中野誠也が代わりにピッチに入るスクランブル。すると31分、三門雄大がボールを持ったときにDFラインの裏に走り出した。そこへ最高のパスが送られてくる。右足のインステップで優しくコントロールして、GK阿部航斗の動きをよく見て巧みなループシュート。きれいな弧を描いてゴールに吸い込まれた。
「映像を見ていないので細かいところは分からないですけど、ミカさん（三門）が前を向いた瞬間に、共通認識でもあったので駆け引きしながら裏を取ることだけ考えました。途中からのイレギュラーな出場でしたけど、素晴らしいボールが来て、周りが見えていたので相手が追いついてきていないのも確認できて、トラップもうまくできたので落ち着いてキーパーを見て決められました」
後半に入ってもコンパクトな守備と一生懸命なスライドが生きて、相手の攻撃を防いでいた。59分にはついに逆転。小島幹敏のスルーパスからネルミン・ハスキッチが決めて2-1とした。しかし、相手の布陣変更もあって押し込まれて2連続ゴールを決められた。これで7戦連続で勝利なし。
「チームとしてどこかでこの流れを断ち切りたかったですけど、現実は現実です。次に向けてやっていくしかないのでそれに尽きるかなと思います」
「2点が入ったのはポジティブです」
71分に右サイドバックの馬渡和彰が、79分には3枚替えで右センターバックの西村慧祐、右ボランチの三門雄大、右サイドハーフの黒川淳史が退いた。対面には新潟の本間至恩。岩瀬健監督はコンディションも考慮しながら、本間の個人技を軸にしたサイド攻撃に対応するために右サイドを入れ替えたと説明した。
「交代選手の使い方からして自分たちの方向性は明確だったし、分かっていましたけど、結果につながりませんでした。悔しいなというだけかと思います」
2-2に追いつかれたゴールは本間至恩がまさにそのサイドからカットインして決めきったもので、逆転となるゴールも本間からつながれてゴール前に運ばれて決められた。
「前に向いて仕掛ける姿勢はさすがだなと思いました。本間至恩選手を含めてさすがと感じましたけど、通用する部分もあったし、首位相手でもできると確認できた試合だと思います」
敗れたとはいえ、すべてが悪かったわけではない。
「攻撃でいえば2点が入ったのはポジティブですし、自分たちが裏を狙っていく姿勢もシーズン序盤に比べれば出てきたと思います。もっと選手が関わっていけば良くなると感じています。守備は全員で行くときがはっきりしていればボールを下げさせてミスを誘うことができていました。ただ、意識が合っていないときもあるので、共通認識を持って声をかけあってやっていかなければと思います」
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE
