上写真=キャンプの厳しい練習のあとでも笑顔がこぼれる。福島春樹の充実ぶりが伝わってくる(写真◎KYOTO.P.S.)
「自分色に染められればいい」
「人は人、自分は自分、ですね」
浦和レッズから期限付き移籍で京都サンガF.C.に加わったGK福島春樹は、自身を司る哲学を明かした。浦和レッズでは出番に恵まれなかったものの、日本を代表するGK西川周作と競い合ってきた。
「西川選手だけではなくて、浦和は個性の強い選手が集まったチームですからね。その中で自分がつなぎ目役として入ろうとしちゃって、みんなに合わせてうまくいかなかった時期があるんです。でも、自分を出さなきゃと思って過ごしたシーズンは成功して、状況を変えることができました。自分を出さなければプレーヤーとしての魅力はないですから、そこを出してどういう結果が出るかはあとからついてくるものだと思っています。誰がいようが、自分のプレーやチームに与える影響を考えながらプレーしてきたつもりです」
2016年にガイナーレ鳥取に期限付き移籍し、17年に浦和に戻ると、19年にエポックメイキングな出来事がやってくる。AFCチャンピオンズリーグ決勝でプレーしたのだ。ホーム・アンド・アウェー形式でのファイナルで、アウェーの第1戦に西川が出場停止だったことで出番が巡ってきた。
「一番大きい試合がACLファイナルで、アジアトップのレベルを自分が経験できたのは大きいですし、あれ以上のチームはアジアにないわけで、しっかりやれた部分もものすごくあったので、その経験を生かして京都に還元できればと思っています」
サウジアラビアのアル・ヒラルに0-1で敗れることになるのだが、福島のスーパーセーブがなければあと2、3点は失っていてもおかしくなかった。そこで得た自信を、京都に一緒に持ってきた。
背番号は「1」になった。正守護神への期待と覚悟の表れと言っていい。新体制会見では「1はチームの中で重要な番号だと思っているので、自分のプレーで自分色に染められればいいと思います」と堂々と誓った。自慢のシュートストップと左足のキックが、それを現実のものとするだろう。
「オファーをもらったときに監督と電話で話して、スタイルのあるチームを作りたいということでした。パスサッカーをキーパーからつくっていってほしいと言われて、その点について僕もいいと思って京都に来ました。そのサッカーがこれからのサンガのスタイルになっていくので、いまから楽しみです」
チョウ・キジェ監督の描く新しいスタイルに、フィットする感覚があるのだ。
「戦術的な部分でアドバイスはするが、やるのはお前らだ、と監督から常に言われています。監督が求めるものからのプラスアルファを、一人ひとりがつくり出していきたいと思っています。自分は左足のキックで状況を打破できるような、そして点につながるプレーができればと思っています」
自分のゴールを守る……だけではなく、相手のゴールを虎視眈々と狙っていく。左足を振り抜いて、一気にゴールに迫るシーンを誘発していくつもりだ。