1月21日に京都サンガF.C.が石櫃洋祐の引退会見を開催した。ヴィッセル神戸、名古屋グランパス、そして京都と歩んできたプロサッカー選手としての思いと、後進に伝えたい大事なことを、最後の最後まで笑顔で語った。

上写真=笑顔が似合う。石櫃洋祐はだからみんなに愛された(写真◎京都サンガF.C.)

「もやもやしていた部分もあったんですけど…」

 引退が発表されたのは、やや遅めの1月19日だった。

「シーズンが終わったときにまだまだできると思っていましたし、次のチームも探しながらやっていたんですけど、いろいろなことを考えて家族とも話して、次のステージに行こうと。正直言うと、チームが見つからなかったのもありますし、やりたい気持ちはありましたけどいろいろなことを考えて今回の決断に至りました」

「カテゴリーを下げてもやろうと思ってました。でもやっぱり現実的に厳しいと分かってきたので、どこかで区切りをつけないとダメだと思いました」

「自分の中でやりきったというか、後悔もないですし、次の道へ進んで一からスタートしたいという思いが強くなって決めました」

 パワフルな攻め上がりと切れ味鋭いクロス。その持ち味を存分に生かして、ヴィッセル神戸で5年、名古屋グランパスで2年、そして京都で7年と素晴らしい選手生活を送ってきた。ただ、そのクロスのように切れ味鋭く、スパッと決断して切り替えたわけではないという。そこでは家族の存在が後押しになった。

「家族からの反対はなかったですね。逆に背中を押してもらったというか、妻といろいろ話して自分でもまだやれるという気持ちがあったのでもやもやしていた部分もあったんですけど、話しているうちにオレをいい方向に向けてくれる言葉がけだったり、そうやって一個一個ほどけていったというか、それがあったから最後には気持ちよくというか悔いもなく決断できたかなと思います」

 正式決定したら発表の運びになるというが、今後は指導者の道に踏み出す予定だという。すでに、自身のキャリアを生かして、後進に伝えていきたい意欲にあふれている。

「大事にしてきたのは、どんなときでも感謝の気持ちを持つことです。去年であれば、大変な状況の中でサッカーができる喜び、何不自由なくプレーできることが当たり前ではなくて、支えてもらって僕たちができているんだ、という感謝の気持ちを持ってやることが大事だと思います」

 もう一つ伝えたいのは、一人では何もできない、ということ。

「仲間がいなかったらいまの自分はないというか、いろんな選手と切磋琢磨してやってきて仲間というのは本当に大事だと思うし、試合でも助け合いながらできるのは素晴らしいことです。自分一人では何にもできないですから、本当に大事です」

 だから、みんなに愛されてきたのだろう。最初から最後まで笑顔あふれる引退会見。石櫃洋祐その人のままの、楽しいラストだった。

■生年月日 1983年7月23日(37歳)
■出身地 大阪府
■身長/体重 179cm/72kg
■ポジション DF
■サッカー歴
大阪学院大学高校→大阪学院大学→ヴィッセル神戸→名古屋グランパス→京都サンガF.C.
■通算出場記録
Jリーグ通算:370試合15得点
リーグカップ通算:22試合1得点
天皇杯通算:17試合2得点
ACL:3試合0得点


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