上写真=足を痛めていながらも73分までプレーした角田誠。守備と先制弾でチームを引っ張った(写真◎J.LEAGUE)
■2020年12月13日 J2リーグ第40節(@味スタ:観衆4,754人)
東京V 0-2 長崎
得点者:(長)角田誠、大竹洋平
「アキのボールが良かったんです」
「おまけ付きでしたね」
V・ファーレン長崎の手倉森誠監督もつい笑ってしまうほどの先制ゴールだった。
28分、秋野央樹の左からのCKに中央でヘッドで押し込んだのは、ベテランセンターバックの角田誠だった。「フレーレが出場停止のところで、角田が多少コンディションを回復させた中でのゲームだったので、前回同様、半分やれればなという感じでしたが、ある程度の時間、やってくれたなと」と手倉森監督はその気力を称えた。
角田自身は「チームのため」を強調する。
「足に筋肉系の問題を抱えていて、このゲームに出るにあたってトレーナーやコーチングスタッフが助けてくれました。他の選手も体が痛い中でやっていますから、何とかチームのためにという思いがありました。自分のことよりチームが勝ててよかったです」
決して万全ではない状況でも、最低限のプレーでチームの勝利に貢献するのがプロで、その上で先制ゴールを決めてみせるのだから、頼もしい限りだ。
その先制のシーンでは、秋野のキックを称えた。
「藤田(譲瑠チマ)選手が僕にマンツーマンでついてきていました。カイオ(セザール)につくと予想していたので、僕のところに来て嫌というかスムーズに入れなかったんです。でもアキ(秋野)のボールにスピードがあって合わせるだけでした。スピードがなかったら入らなかったので、アキのボールが良かったんです」
藤田だけではなく、この日がJリーグデビューの馬場晴也にも挟まれながら、ヘッドで流し込んだ。18歳と19歳の若手に、37歳と経験豊富なベテランが勝負の妙味を見せつけたという感じだろうか。
首位の徳島ヴォルティスがジェフユナイテッド千葉に引き分け、2位のアビスパ福岡が京都サンガFCに勝ったため、福岡と長崎が首位ににじり寄った格好だ。残りは2試合。
「面白いシチュエーションになってきましたね」
角田はニヤリと笑う。
「僕たちは勝ってほかの結果を待つだけですけど、3日後にすぐ試合がありますから、どういうメンバーになるか分からないですが、試合に出る、出ないに関わらず、チームのために戦っていきたいです」
待ち受けるのはヴァンフォーレ甲府、ツエーゲン金沢と一筋縄ではいかない相手。だが、どちらもホームで戦えるのは上位3チームで長崎だけだ。徳島も福岡もアウェーゲームが1試合ずつあり、さらには最終節は徳島と福岡の直接対決。まだまだ何が起こるか分からない。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE