開幕2連勝を飾った川崎フロンターレが次に戦うのは、ベガルタ仙台だ。東日本大震災による中断後に初めて戦った相手と、10年の節目に戦うことになった。当時コーチだった鬼木達監督はあのときを振り返りながら、必勝を誓っている。

上写真=10年前のあのときはコーチとして試合に臨んだ鬼木達監督。開幕3連勝をかけて仙台に乗り込む(写真◎小山真司)

「みんなが仙台を応援したくなるような雰囲気があって」

 2011年4月23日、川崎フロンターレはベガルタ仙台を等々力陸上競技場に迎え、1-2で敗れた。東日本大震災による中断を経て初めての試合。相手は被災地のクラブ。当時、コーチだった鬼木達監督は、いまでもよく覚えている。

「自分たちのホームでしたが、自分たちも戦いきれるのかという雰囲気があったり、みんなが仙台を応援したくなるような雰囲気があって、プロとしてやらなければいけないけれど、難しい環境でやったのはいまでも忘れられない記憶です」

 仙台への、被災地への思いと勝負にこだわるプロフェッショナリズムが混在したゲームから、もう10年だ。節目の年の3月6日、ユアテックスタジアムに乗り込んで仙台と戦う。敵将は、帰ってきた手倉森誠だ。

「誠さんのチームは、粘り強いところ、メンタル的なところを押し出してくるチームだという印象がありました。そこはいまも変わらないですね」

 川崎Fはクラブとして「東日本大震災復興支援活動Mind-1ニッポンプロジェクト」を続けている。鬼木監督も陸前高田市でサッカー教室に参加するなど、深く関わってきた。

「自分たちが向こうに行ってサッカースクールで子どもたちと接したときに、最初は表情が硬い中で始まるんですけど、最後は心から笑っている笑顔になるんです。いまでは年を重ねるごとに彼らの成長も見ることができて、彼らも最初より気さくに話しかけてきてくれたりするのは印象に残っていますね。これまでやってきたことが少なからず何かいい影響を与えられているのかなと思いながらも、何かを与えているというより、むしろこちらが与えてもらっているなと感じているのが正直な気持ちですね」

 試合当日は両クラブでイベントも企画されていて、ピッチ内外で特別な1日になりそうだ。ピッチの中ではもちろん、鬼木監督にとってはアウェーであっても負けるわけにはいかない。

「相手さんのことを考えて何かしても、変えられないところなので、自分たちにフォーカスしてやれることやるべきことをやりたいと思います。今年もタイトなスケジュールで総力戦になると思っていますので」

 直近のセレッソ大阪戦では、かつてのエースストライカー、大久保嘉人に2点を奪われたが、3-2で逆転勝利。1試合3得点という目標は達成したものの、まだまだ、と気を緩めない。

「こだわっているのは得点のところなので、その意欲は出ているかなと思います。特に前線の選手は得点などの数字にこだわっているでしょうし、チームでもこだわっています。崩しのバリエーションを増やしたいという気持ちでやっていて、セレッソ戦でもより多く走ろうという姿勢があったのは良かったと思います。自分たちらしいなと思って楽しんで見ていました」

 次の仙台戦でも監督自らが楽しめれば、3連勝はグッと近づく。


This article is a sponsored article by
''.