上写真=鮮やかな2点目を決めた大竹洋平(20)を中心に喜びの輪。長崎が確実に勝利を手に入れた(写真◎J.LEAGUE)
■2020年12月13日 J2リーグ第40節(@味スタ:観衆4,754人)
東京V 0-2 長崎
得点者:(長)角田誠、大竹洋平
「1失点してしまうだけで下を向いてしまう」
4分間のきらめきだった。
3位のV・ファーレン長崎は、残り3試合で取りこぼさずに首位徳島ヴォルティスと2位アビスパ福岡が勝ち点を落とすのを待つしかない。そのためにも、まずは失点を警戒するような静かな立ち上がり。ボールをつないでくる東京ヴェルディの攻撃に対し、高すぎず低すぎず、絶妙なバランスのコンパクトな4-4-2のブロックをきれいに敷いて封じていく。
そんな堅いゲームがセットプレーで動くのはよくあること。28分に秋野央樹の左CKから中央で角田誠がヘッドで押し込んで先制した。4分後には相手ミスによるカウンターから左に展開、氣田亮真がカットインしながら倒れるが、こぼれ球が大竹洋平の足元へ、左足のつま先で少し浮かせてそのままボレーでゴール右へ流し込む技ありの追加点だ。
あっという間に2点を奪い、再びブロックの前で東京Vを封じ込める。
後半は東京Vが交代策を使ってゲームに刺激を与えていく。ハーフタイムに井出遥也と山下諒也を、49分にはアクシデントもあって井上潮音を、64分には奈良輪雄太を投入して、形勢逆転を狙った。しかし、長崎のブロックはびくともしなかった。
「まず守備でしっかりとコレクティブに連動してみせました。守備に追われた先に、しっかり相手の重心を見ながらカウンターなのか厚みで揺さぶるのかのメリハリができていたと思います。イージーミスもあってヒヤッとすることもありましたが、メリハリのあるゲームコントロールが良かったです」
長崎の手倉森誠監督は勝利の余裕からか落ち着いた話しぶりだった。それだけ守備が整っていれば、ビッグチャンスもほとんど作らせなかったのは道理だろう。
とはいえ、後半は東京Vにもチャンスはあった。66分に奈良輪雄太のヘッドの折り返しを若狭大志が至近距離で狙ったが上へ、82分に右からの若狭のクロスから奈良輪がヘディングシュートは左へ、88分の奈良輪のクロスを山下諒也がニアで合わせたが左へ、とわずかにゴールにつながらなかった。
「反省すべきところはやはり、セットプレー一つでやられてしまうところ。そしてもっと言うと、自分たちの掲げているスタイルとして、これだけ攻撃サッカーを明確に打ち出しているにも関わらず、1失点してしまうだけで下を向いてしまう。我々が来季も見据えた中でより強くなっていかなければいけない大きなところです」
永井秀樹監督は選手を労いながらも、精神面に反省点を求めた。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE