上写真=負傷から復帰後はチームの軸に。昇格へ向けて重廣卓也の存在感が増している(写真◎J.LEAGUE)
「先制点を取る姿勢をキックオフから」
J2は残り3試合で昇格レースもクライマックスに近づきつつある。アビスパ福岡は2位で、首位の徳島ヴォルティスとは勝ち点で5の差があって、3位のV・ファーレン長崎には2差で詰め寄られている。徳島とは最終節に直接対決が待っていて、可能性としては優勝も3位転落もありえる状況だ。
このしびれる展開に身を置く選手たちにのしかかるプレッシャーは尋常ではないだろうが、重廣卓也はカラッとしている。
「僕はいまはまだまだという感じですね。ここから残りが2試合、1試合となると変わってくると思いますが、まだ3試合。どうにでもなる勝ち点差ですからね」
そこまで落ち着き払っているのは、上手に切り離しができているからのようだ。
「僕は客観的に見ているんです。アビスパの一員ではなくて、Jリーグのファンとして『面白いな、J2!』という感じで。ピッチ外ではみんなと勝ち点のことも話していて、他の人は分からないですけど、僕はその話で気負うこともないし」
頼もしい限りだ。チームに一人、こういうメンタルの持ち方ができる選手がいるだけで、雰囲気は変わっていく。
「正直、すごく面白いですよね。負ければ下がどんどん詰めてきますし、勝てばもしかしたら逆転できるかもしれないという、すごくいま充実しているなというか、楽しいな、面白いな、という気持ちです」
もちろんそれは、プレー面での充実があってこそだ。
「得点を取るときは勢いがあって、ボールも動くし人間も動いています。だから前半からしっかりと、戦術だけではなくて戦術以外の自分たちが持っているものをチーム全体で引き出せるようにならないと」
次の相手は京都サンガFC。昨年まで所属していた古巣だ。燃えないわけはない。
「上位キラーというか、強い、堅いイメージが僕の中ではありますね」
京都は11月21日の第35節で徳島に2-0で勝っていて、25日の第36節ヴァンフォーレ甲府戦では1-1、12月12日の第38節では長崎に2-1で勝っているのだ。確かにここに来て、上位に強い。
「去年一緒にやっていた仙頭(啓矢)がまた加入してから、勢いが増したなという印象あります」
「啓矢くんはのびのびやって、髪色も変えてイケイケやな、と(笑)」と冗談も交えつつも、また真剣な表情に戻って勝利のポイントを明かした。
「やっぱり結果から言うと、先制点は確実に前半立ち上がりでほしいなと僕自身は思います。内容はどうであれ、先制点を取る姿勢をキックオフからしっかり出せて取ることで、かなり京都戦は優位に立てるのかなと思います」
J2をもっと面白くする必要はもうないだろう。3連勝で一気に昇格、そして優勝へと突き進む。