12月6日、明治安田生命J2リーグは第39節が開催され、徳島ヴォルティスは水戸ホーリーホックと敵地ケーズデンキスタジアム水戸で対戦。勝利すればJ1昇格が決まる状況だったが、完封負けを喫した。それでも、古巣対戦となった田向泰輝は敗戦にも前を向いた。

かつては水戸でもプレーした徳島の田向泰輝(写真◎J.LEAGUE)

■2020年12月6日 J2リーグ第39節(@Ksスタ:観衆3,325人)
水戸 1-0 徳島
得点:(水)平塚悠知

「それしかJ1に近づいていく道はない」

「僕自身、水戸ホーリーホックはすごく育ててもらったクラブなので、思い入れはあるし、感謝の気持ちもあります。ブーイングされるかなと思ったんですけれど(笑)、結構拍手の音が大きくて、自分自身はまた頑張ろうという気持ちになりました。良いスタジアムだし、良いサポーターの方々だなと、あらためて感じました」

 縁の地に帰ってきた田向泰輝は、記者の質問に対してそのように胸の内を明かした。茨城県水戸市で生まれ育ち、大学卒業後にプロキャリアをスタートさせたのもこの街だった。プロ2年目から、現在も徳島で背負い続ける2番をつけ、頭角を現していった。この日、ケーズデンキスタジアム水戸に詰めかけた古巣のファンやサポーターは、そんな地元出身のサイドバックに大きな拍手を送った。

 田向自身、心のどこかには故郷で自身初のJ1昇格を決めたい思いもあったかもしれない。だが、それは実現できなかった。前節時点で水戸と並んでリーグトップだった自慢の攻撃力は鳴りを潜め、0-1で完封負け。他会場では長崎が勝利したこともあり、目前に迫るJ1昇格決定は次節以降に持ち越しとなった。それでも、田向は不変だ。

「みんな、そこまで深く考えていないというか。もちろん、(今節でJ1昇格が)決まることがベストだったかもしれないけれど、自分たちとしては一つひとつ勝っていくことしか(J1に)近づいていく道はない。そう思って、今シーズンを戦って来ました。この姿勢がブレるようなことはしたくないので、今節決まらなかったからといって、(気持ちが)沈んでいたり、落ち込んでいたりすることはまったくありません」

 徳島は前節で北九州に勝利してJ1昇格に王手をかけている。田向の言うように、今節で水戸に敗れたからといって、J1昇格の望みが絶たれるわけではない。残り3試合で一つでも勝てば、クラブとして7年ぶり悲願達成となり、また3位の長崎が勝ち点を落とすことになってもJ1昇格が決まる優位な状況に変わりはない。しかも、次の2試合はホームでの戦いとなる。

「僕たちはとにかく1試合1試合、勝つために全力を尽くして戦います。次はホームでやれる。そこで今節見せられなかった自分たちの持ち味や強さを見せられるように、しっかり準備して、また次(の試合で)頑張りたいと思います」

 次節は12月13日、鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムでの千葉戦。本拠地で歓喜の声を上げるべく、次こそは今シーズンの25勝目をつかみ、J1昇格決定の瞬間を目指す。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE


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