上写真=ゴールに貪欲な姿は頼もしい。遠野大弥とフアンマ・デルガドのコンビは福岡の武器だ(写真◎J.LEAGUE)
「チームのためにハードワークする」
フアンマ・デルガドと並んでチームトップの8ゴールは勲章だ。Honda FCから川崎フロンターレとプロ契約を結んだ2020年、そのまま期限付き移籍したアビスパ福岡でブレイク中のアタッカーである。
36試合に出場して2,652分のプレータイムはチームで3番目に多い。それだけで長谷部茂利監督からの信頼の深さが分かる。屈強な体幹を持つフアンマの周辺で巧みなポジション取りを心がけ、セカンドボールの回収やフィニッシュワークなど、数多くのタスクをこなしている。
J2第37節の大宮アルディージャ戦は相手のタイトな守備に苦しみはしたものの、1-0で逃げ切った。難しい試合でもていねいに戦って勝ち点を確実に手に入れるチーム力は、昇格への大きな武器になる。唯一のゴールは58分、右サイドのエミル・サロモンソンのクロスを中央でフアンマが豪快にヘッドで決めたものだった。
「クロスからの入り方は練習で繰り返しやっていましたし、ゴール前のコンビネーションは良くなっています」と手応えがある。それがフアンマのゴールに直結したわけだが、だからこそ、「これを継続して1-0じゃなくて3-0で勝利したいと思います」と貪欲だ。そういえば、移籍元の川崎Fでは今季、鬼木達監督が1試合3ゴールをノルマに戦っていて、それが大量得点を生む原動力になっている。遠野もそのポリシーを受け継いでプレーしているのかもしれない。
60分のカウンターで石津大介のロングドリブルから左でラストパスを受けて、あとはシュートを打つだけ、というところでトラップが左に流れてしまって打ち切れないシーンがあった。「技術不足で判断不足で、すべてにおいて劣っていて、決定力の部分はなかなか練習の時間がないので、どれだけ意識を高く上げていけるかが自分の課題でもあります」とJリーグで戦う初めての年に反省が積み重なる。
それはとにかくチームに貢献したいから、という強い気持ちの表れでもある。
「チームのためにハードワークすることが第一だと思いますし、守備も100(パーセントの力)で攻撃も100で、自分でゴールを取って、僕以外も取れるようにアシストもしたいですし、残り5試合、チームに貢献していきたいです」
いくら欲張りになってもいい。プロの最前線で攻撃を担う男はそれぐらいでなければ務まらない。