上写真=フアンマ・デルガドの一撃で福岡が勝利。2位の座を守った(写真◎J.LEAGUE)
■2020年11月29日 J2リーグ第37節(@ベススタ:観衆5,178人)
福岡 1-0 大宮
得点者:(福)フアンマ・デルガド
「80パーセントできた」と「五分五分」
試合前に大宮アルディージャの高木琢也監督が語った「多くの点が入らない試合になると思う」の言葉が、まさに予言となった。
前半はともに非常に堅い内容。序盤にはお互いにラッシュをかけて、4分と5分に連続して大宮がゴールに迫り、7分には福岡も増山朝陽のセンタリングに石津大介が合わせる絶好機を迎えるが、いずれもゴールはならず。落ち着きを取り戻した両チームはここから、相手の出方をうかがいながら戦い方を整理して慎重な展開になった。福岡が相手ミスからフアンマが独走したところを西村慧祐が体を張って止めた40分のシーンなど、ともに攻守に引き締まった展開のまま0-0で折り返した。
こういうときに勝負を分けるのは、個のパワー。両チームに大きな違いがあるとすれば、フアンマの存在だろう。元大宮のストライカーが古巣に強烈な一撃を見舞ったのが、58分のことだった。右からのエミル・サロモンソンのピンポイントクロスをジャンプ一番、畑尾大翔に競り勝ってヘッドで豪快に叩き込んだ。
福岡の長谷部茂利監督は「(1点を)守りきってしまった」と表現したが、それは大宮の勢いを考慮しつつ、最後は83分の交代策で5バックにして守備を固めたから。その前からも、54分には山田将之と小野雅史の強烈な連続シュートや70分の菊地俊介の狙いすましたフィニッシュがあった。どちらもGKセランテスや守備陣の体を張ったディフェンスで守り抜きながら、攻撃に転じればフアンマを中心にして、遠野大弥や交代で入った山岸祐也らがゴールを狙っていった。
結果はこのまま1-0で福岡の勝利。3試合ぶりの勝ち点3だ。この前日に昇格レースのライバルであるV・ファーレン長崎がアルビレックス新潟に勝って、勝ち点70で並んでいた。それだけに、福岡は負けるわけにはいかなかった。
大宮の高木琢也監督は僅差の戦いぶりを評価することと、勝利に一歩届かなかった足りない部分の両方を指摘した。「全体を通して狙い通りでした。数字にすれば80パーセントまではできましたが、決定機を作るためにはもう一つ工夫が必要だったと思います。足りなかった20パーセントはそういうところになります」。それを受けるような形で、福岡の長谷部茂利監督が出した数字は「五分五分」だった。
「さすが大宮の高木監督は、いろいろな手を打つことで我々を封じてきましたし、我々の狙いを持った守備に対して攻撃を仕掛けてきました。うちはゼロ失点はよくできました。いろいろなことができるチームに対してよく抑えたと思います。五分五分の試合だったと思います」
これで勝ち点を73として昇格圏内の2位をキープ。「勝負事なので相手が良くてうちが悪いということもあると思います。でも、そういうときでも、負けを引き分けに、引き分けを勝ちに、という考え方で12月に向かいたいと思います」。長谷部監督も改めて引き締める。
あと5試合。いよいよクライマックスだ。
写真◎J.LEAGUE