上写真=本間至恩はボールに触る機会は減ったが、ビッグチャンスを2度迎えた(写真◎J.LEAGUE)
■2020年10月25日 J2リーグ第29節(@鳴門大塚:観衆5,171人)
徳島 0-0 新潟
「全部勝つために臨みます」
「力んでしまいました。決めたい気持ちが強くて…」
徳島ヴォルティスとの激しい上位対決。ともにスペイン人監督が指揮を執り、パスをつなぎながら組み立てて攻撃を重視するスタイルも共通していて、それだけに白熱した攻め合いになった。
どちらに転んでもおかしくない一進一退の攻防で、アルビレックス新潟に勝利の女神が微笑みかけたのが60分のこと。中島元彦が右からクロス、田上大地が競って体に当てて後ろにこぼれたところに本間至恩はいた。フリーだったから一度止めてから素早く右足を振ったが、ボールはゴールの上へと飛んでいってしまった。
「セカンドボールを拾って、ファーストタッチが胸だったんですけど相手をはがせたのでコースが開きました。いま振り返れば冷静に蹴ればよかったと思いますけど、そのときは慌てて打ってしまって。力んでしまいました。決めたい気持ちが強くて…」
細かいステップのドリブルは、いまや新潟の攻撃の象徴。しかしこの日はなかなか得意なエリアでボールを収めることができなかった。左のワイドで受けてそのままカットイン、あるいは縦に突き進んでいくドリブルでこれまで何度もチャンスを作ってきたが、その回数が少なかった。
「前半は相手がボールを持っていたので、自分のところではサイドでいい形で仕掛ける場面が前半はありませんでした。今日は守備から入っていい形で奪えて、ショートカウンターではチャンスは作れていました」
徳島のパスワークのレベルの高さは分かっているから、地道に高い位置でプレスをかけ続けて一気にゴールに迫る作戦だった。41分のビッグチャンスが、まさにそれだ。
徳島の岩尾憲が新潟の左サイドに長めの横パスを送った。少し距離はあったが本間はあきらめずにダッシュして寄せていく。ボールが勢いを失って減速するところを、小西雄大に渡る直前に奪ってそのままゴールへ。右足のシュートは低くニアサイド側へ。しかし、GK上福元直人の好反応に防がれた。
「自分はチャンスは結構あったんですけど、ゴールを決められなかったのはすごく悔しいです。クオリティーが低かったところが自分の反省点です」
「チャンスを作れるということは、いいところにいるということ。ゴール前に顔を出すのは良かったと自分では思いますけど、決めないといけないので」
昇格への希望をつなげる勝利へ、あと一歩足りなかった。
「上の順位のチームとの対戦で、昇格するには勝ちたかったところで、引き分けで終わって悔しく思います。ただ、もう結果は変わらないので、切り替えて全部勝つために臨みます」
シーズンはすでに3分の2を消化して、いよいよ残り13試合。昇格圏内の徳島とは勝ち点11のままだ。本間の「全勝宣言」を実現するために、愚直であっても戦い続けるだけだ。
写真◎J.LEAGUE