明治安田生命J2リーグ第29節で2位の徳島ヴォルティスと5位のアルビレックス新潟が激突。勝ち点差11の両チームは昇格へどちらも負けられず、意地と意地がぶつかり合うハードな90分だったが、0-0の引き分けで幕を閉じた。

上写真=75分、徳島の河田篤秀のヘッドはバーを叩く。ビッグチャンスの応酬だった(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月25日 J2リーグ第29節(@鳴門大塚:観衆5,171人)
徳島 0-0 新潟

画像: ■2020年10月25日 J2リーグ第29節(@鳴門大塚:観衆5,171人) 徳島 0-0 新潟

「リーガ・エスパニョーラのような」

 2位の徳島ヴォルティスも5位のアルビレックス新潟も、最初から最後までフルパワーでゴールを目指す迫力が伝わってくる好ゲームだった。

 スペイン人監督に率いられ、ボールとともにプレーする、というポリシーから、いわば兄弟のような徳島と新潟。違うのは完成度の部分だろうか。それが前半に如実に現れた。

 お互いに様子見の序盤から、激しいプレスでショートカウンターの掛け合いを経て、徐々に徳島のボール回しのリズムが上回っていった。そこからは崩しの徳島、カウンターの新潟という色合いでビッグチャンスが続いた。

 徳島は17分に右の岩尾憲の横パスを渡井理己がワンタッチで縦へ、抜け出した西谷和希が逆サイドに流し込もうとシュートを転がしたが、わずかに左に切れていく。36分には西谷が左サイドに持ち込んでクロス、これを垣田裕暉がヘッドで合わせるが上に外れる。

 新潟も21分に左からの高木善朗のクロスに鄭大世がヘッドを放つがGK上福元直人に止められ、41分には相手の横パスをインターセプトした本間至恩がそのまま持ち込んで鋭くシュートを放ったが、こちらもGKのセーブに阻まれた。

 そうなると後半は、ともに遠慮なく先制点への強烈な意欲を隠すことはなかった。一進一退の白熱した攻防で火花を散らす。

 48分に徳島が相手から強奪した渡井が持ち込んでシュート、これは新潟のGK小島亨介がセーブする。60分、新潟が右からの中島元彦のクロスから中央のこぼれ球を本間至恩が狙ったが、シュートは上へ。

 69分には徳島が一気に4人を交代させてパワーを再注入すると、75分には徳島が渡井の連続シュートでゴールを脅かすが、これも新潟のGK小島が片手一本でセーブ。その直後には左からのジエゴのクロスに河田篤秀が飛び込んでヘッドで合わせるが、ボールはバーへ。新潟も88分に田上大地がFKで狙うがわずかに外れ、再び徳島が渡井の左からのクロスを河田が中央で突っ込んで押し込もうとするが、これもGK小島が止めてみせた。

 まさにビッグチャンスのオンパレード。息つく暇もない攻防の結果、スコアレスドローに終わった。

 昇格レースのために勝ち点3を手にして差を縮めたかった新潟のアルベルト監督だが、この90分について言えばとてもポジティブな反応だった。

「典型的なリーガ・エスパニョーラのような展開でした。お互いにボールをほしがって攻撃的にプレーする、見ている人にとっても充実したスペクタクルな試合だったのではないでしょうか。お互いにチャンスがあり、決めていれば勝つ可能性がどちらのチームにもあった展開になりました。それ故に、引き分け、勝ち点1は妥当な結果だと思います。レベルの高い相手に、私たちの選手が勝負にこだわるプレーを表現できたことを誇りに思います」

 徳島のリカルド・ロドリゲス監督も全般的な印象としては同じ考えだが、細かなミスにも言及。

「今回の試合はもちろん勝つ可能性もあった内容ですが、そこまですべてが良かったかと言われるとそうではないところもあって、自陣のつなぎのところでボールを失って相手に持っていかれるシーンもありました。これから改善していかなければいけないテーマです」

 内容の面では白熱した素晴らしいゲーム。一方で昇格のことを考えれば、どちらにとっても「仲良く勝ち点を分け合った」というよりは「痛み分け」となった。

写真◎J.LEAGUE


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