アルビレックス新潟は10月15日夜、所属するファビオとペドロ・マンジーが19日に書類送検される見込みとなったことを発表した。酒気帯び運転の取り締まりを受けて任意捜査を受け、15日に任意捜査がすべて終了したという。

上写真=新潟はエースのファビオ(右)、マンジーが書類送検見込みという異常事態に見舞われた(写真◎Getty Images)

酒気帯び運転の任意捜査が終了

 クラブの発表によれば、所属するブラジル人FWファビオが酒気帯び運転の取り締まりを受けたのは、2020年9月17日木曜日午前1時~2時頃、新潟県新潟市内でのことだという。13日日曜日のJ2リーグ第19節、ギラヴァンツ北九州とのアウェーゲームが行なわれて1週間空いて、第20節の徳島ヴォルティス戦が行なわれる19日土曜日の間の出来事だった。

 事故が発生したり逮捕された事実はないものの、取り締まりを受ける前に同乗していたFWペドロ・マンジーも任意捜査の対象となった。クラブは警察の方針に基づいて任意捜査に全面協力。公表、処分は警察の指示の下で、任意捜査終了後に確定的判断が出るのを待ってから行うこととした結果、10月15日木曜日に任意捜査がすべて終了、19日月曜日に両選手とも書類送検されることになったことから、クラブは15日に公表したのだという。捜査におよそ1カ月がかかったのは、「捜査対象が複数であり、かつ、外国籍選手であることもあって、通常よりも時間を要しました」というのが、クラブ発表の理由。

 これにより、クラブは当面の間、両選手のチーム活動への参加を禁止することを決定。19日月曜日に開催予定の臨時取締役会で両選手に対する処分を決定するという。

 株式会社アルビレックス新潟の是永大輔代表取締役社長は、ホームページで次のようにコメントを発表している。

「このたびは所属選手の不祥事により、Jリーグに関わる方々、ファン、サポーターの皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。飲酒・酒気帯び運転は極めて危険な行為であると認識しており、決して許されるものではありません。社会の規範であるべきプロサッカー選手であるということ、また、再発防止という意味を込めて厳正な処分を臨時取締役会にて諮ります。今後は選手、スタッフへの教育を再徹底していく所存です」

渡邉新太も離脱中でどう戦う?

 取り締まりを受ける直前の北九州戦は1-2で敗れたものの、その1点はファビオが決めたものだった。その直後の徳島戦ではファビオはベンチ外。この上位対決は昇格に向けて非常に重要な連戦だったが、その間で取り締まりを受けていたことになる。

 ファビオは続く第21節愛媛FC戦(△0-0)はフル出場、第22節ヴァンフォーレ甲府戦(△1-1)、第23節FC琉球戦(○1-0)はともに後半の45分間プレー、第24節町田ゼルビア戦(○4-0)は先発で64分までプレー、第25節京都サンガ戦(○2-1)は同じく79分までプレー、そして第26節のアビスパ福岡戦(●1-2)ではフル出場している。マンジーはこの間、ベンチ入りしていない。

 ともに今季から新潟に加わった期待のストライカーで、特にファビオは192センチの長身と惜しみない守備への貢献でサポーターの心をがっちりとつかんでいた。ここまで19試合に出場して5得点を挙げるとともに、周囲の選手を生かすプレースタイルで新潟の攻撃を牽引してきただけに、残念だ。

 事故などがなかったことで、まずは一安心。とはいえ、任意捜査中であって、クラブの発表によるところの「確定的判断」が出ていなかったことで出場を続けさせていたのではと考えられている。その点においてはクラブとしての倫理的判断の是非も厳しく問われることになりそうで、クラブ発表では「捜査期間中は警察の指導に従うとともに、Jリーグや関係各所への報告と情報共有を行い」とあることから、Jリーグに対しても合わせて、SNSでは多くのサポーターからの批判が相次いでいる。

 新潟は第26節終了時点で、10勝10分け6敗の勝ち点40で5位。昇格圏内までは勝ち点12の差があって、残り16試合で昇格に挑むタイミングであるだけに、書類送検という事態によるエースの離脱は非常に痛い。すでに、同じくエース格の渡邉新太が右足第五中足骨骨折で9月25日に手術、全治まで約3カ月の見込みとされていて、出場機会を失っていたとはいえマンジーも離脱するため、ここからの戦いが厳しくなるのは明白だ。

 ほかにFW登録は大ベテランの田中達也、ルーキーの矢村健、そして8月に加入したばかりの鄭大世の3人。田中はここまで2試合12分、矢村は8試合185分、鄭大世は10試合406分のプレーで、今季のプレー時間は短い。この3人で挙げた得点も鄭大世の4ゴールのみだ。

 ほかにMF登録ではありながら、これまでFWの一角としてシルビーニョやロメロ・フランクがプレーしていて、高木善朗や本間至恩の攻撃力を最前線で生かす工夫も考えられる。それでもやはり、特にファビオの離脱は厳しい状況。ここのところは4-2-3-1のフォーメーションへの転換が功を奏していたのだが、1トップのファビオの存在なくして機能しにくいだけに、今後のアルベルト監督の手腕が試される状況にもなっている。

 昇格へ向けて、思わぬ難題が降り注いできたが、どう乗り切るだろうか。


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