上写真=守備の安定をもたらしたのが安藤の存在だった(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月30日 J2リーグ第23節(@フクアリ:観衆1,768人)
千葉 0-0 京都
「裏へのパスが少なかった」
前節は大宮アルディージャにホームで2-0からまさかの大逆転を許し、2-4で敗れた。ショックは小さくはないが、中3日で迎えたこのジェフユナイテッド千葉戦では0-0で乗り切った。攻めあぐねた悔恨はありながらも、實好礼忠監督は「前節の逆転負けから気持ちのところでプレーが左右されることなく、集中したゲームになりました」とメンタル面でのリカバーに安堵した。
安藤淳の存在がそのことと大きく関係しているだろう。ベンチ外が2試合続き、先発も5試合ぶりとなったが、開幕からずっと主力を張ってきた守備の要だ。前節での4失点の悪夢から逃れるには「安定」が何よりの薬だった。そのために3バックの右に入ってフル出場、チームを助けた。
「守備をしっかり安定させたいと思っていました。前節4失点で逆転負けだったので、ゼロに抑えようという気持ちで臨みました」
その意識はチーム全体に浸透していて、実際に無失点という目標は達成できた。
「チームとしてすごく集中した守備ができていました。ディフェンスラインだけではなく、中盤も前の選手もしっかり戦えていたのが大きな収穫です」
チームがバラバラにならずにもう一度、一つになって戦えたことを、この90分の堅守が物語っていた。だがもちろん、それだけで勝ち点3は転がり込んでこない。
「相手が組織的な守備をしてきましたが、もっと大胆に早めにクロスを入れたり、裏への動き出しを使っていったら良かったと思います」
その感覚はピッチの上だけではなくて、實好監督も認めるところで、「ジェフがコンパクトに陣形を取っていて、そこを広げる作業が必要でした。まずインサイドの選手が裏を取って押し込んだ状態から、またやり直して広げる作業をしたかったんですけど、パスが足元ばかりになって怖くありませんでした」と話している。安藤も後ろから関わりながら「裏へのパスが少なかったと思います。(ボールホルダーが)動き出しを見ていないところもあるし、その動き自体も少なかった」と見ている。
それでもやはり、守備の一角を司る立場としては失点ゼロで最低限の仕事は果たしたことに一定の自己評価を与える。
「チームとしてゼロに抑えられたことが次につながります。自分たちで決められずに勝ち点3を取れなかったけれど、ポジティブなゲームだったと思います」
この新しい一歩を正しいものにするためには、アウェー連戦となる次のジュビロ磐田戦が重要になりそうだ。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE