明治安田生命J2リーグは9月30日の第23節が3度目の5連戦の4試合目。アルビレックス新潟はFC琉球と対戦する。ともに攻撃を是とするアイデンティティを持つだけに、アルベルト監督は改めて魅力的なスタイルで挑んでいく。

上写真=甲府戦の新システムは攻撃力をより研ぎ澄ませた(写真◎J.LEAGUE)

守備の4-2-3-1、攻撃の4-3-3

 アルビレックス新潟は9月26日のJ2第22節でヴァンフォーレ甲府と対戦したのだが、アルベルト監督は興味深いコンセプトをピッチに描いた。

「スタイルはまったく変えていませんが、システムは異なるものでした。ここ数試合の経験によって、4-2-3-1とするか4-3-3とするか表現は人それぞれですが、ウイングの選手が幅を取った方が機能すると感じたので、この並びにしました。イメージは守備では4-2-3-1、攻撃では4-3-3という立ち位置です」

 今季の新潟は4-4-2のフォーメーションを軸に、サイドバックが幅を取ってサイドハーフがよりゴールに近い中央付近で活性化させる戦いだった。その幅を取る場所をとても高く設定したのだ。

「より守備的に戦う傾向にある甲府でしたので、より攻撃的に、サイドアタックを狙いたくてその配置にしました。内容は意図したものを表現できたものの、1ゴールのみとなりました。何度も言う通り、選手たちのパフォーマンスを誇りに思っています」

 その1ゴールはまさにサイド攻撃の賜物だ。63分に左サイドでサイドバックの荻原拓也がサイドハーフの本間至恩に預け、相手の背後に潜り込んだ高木善朗へ短く縦パス。ここまではゆっくりとしたペースだったが、ここからスピードアップ、髙木がワンタッチで外に出ていた荻原に渡すと、荻原もワンタッチでニアサイドに低く鋭いクロスを送り、これがオウンゴールを誘ったのだ。

 左サイドでコンビネーションを見せた3人のセンスと、中央で待ち構えていたファビオの存在感。それぞれが特徴を存分に発揮して引き寄せたゴールだった。それこそアルベルト監督が求めているもの。

「監督の仕事というのは、攻撃に関しては自陣から3分の2のところまで運ぶプロセスを作ることで、ゴール前の3分の1は選手の才能やイマジネーションを発揮するところです」

「プレイステーションのリモコンを使うように選手を動かすことを監督の仕事だと思っている人もいるのですが、そうではありません。そういう監督には、選手を成長させることはできません。私の監督としての役割は、選択肢を提供し、アイディアを提供し、それとともに有意義に選手に主導権を握ってプレーしてもらうことです」

 その象徴となったのが、高木だろう。9月5日の第17節ジュビロ磐田戦以来の先発出場だったが、今季の新潟にはなかったトップ下のポジションを与えられ、生き生きとピッチを駆けた。5バックと4人の中盤の間で捕まらないように漂い、ボールを受けて展開して、を繰り返してリズムを作ったのだ。まさにアイディアあふれるプレーの連続だった。

「本当に素晴らしいプレーを表現していました。技術の質の高さを持っている選手です。そして、攻撃だけではなく守備においても大きく貢献してくれています。守備の貢献度が高まったことで、より完成度の高い選手に育っていると思います」

 この日の1ゴールは確かに、こちらの攻撃が止められたあと、髙木が瞬間的に守備に切り替えてスライディングしたことで奪ったところから始まった。

 こうした小さなプレーを積み上げて、選手とチームは成長していく。新システムの採用で新しい可能性が見えた。次のFC琉球との90分でも、選手たちがレベルアップする瞬間が何度も訪れるはずだ。


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